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鞍上ルメールで狙うは3歳マイル王。
レシステンシアはあの馬に似ている。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/05/08 20:00
桜花賞では4着に敗れたメジャーエンブレム。NHKマイルC制覇後は故障により引退、繁殖入りした。
ルメールが語ったパワフルさ。
2歳時は唯一アルテミスS(GIII)で2着に敗れた。軽快に逃げたものの、最後にデンコウアンジュの差し脚にクビ差、敗れたのだ。
「メンタル面は大人ではあったけど、同時にパワフルな馬でもあったので、デビューして間もない頃は行きだすと止めるのが難しい感じがありました。スタート前の輪乗りでも他の馬より前に行きたがる面があったり、ゴールした後も止まろうとしなかったりという面は最後まであったけど、レース中の折り合いに関しては問題ない馬でした。
でも、アルテミスSに関しては東京競馬場の大外枠で、他に誰も行く構えを見せる馬がいなかったために珍しく掛かってしまったんです。あのレースぶりはイレギュラーだったので他のレースではとくに大きな心配をする事なく乗れていました」
桜花賞で見舞われたアクシデント。
だから阪神ジュベナイルフィリーズも優勝して2歳女王の座についた。しかし、デビュー5戦目となったクイーンC(GIII)は自ら速いラップを刻んで逃げる形になった。結果、そのまま押し切って優勝するのだが、ゴール板を過ぎた後もなかなか止まろうとしなかった。
そこで、続く桜花賞で敗れてしまう兆候が垣間見える事はなかったのだろうか? ルメール騎手は答えた。
「自分で支配したがるという気性面の強さが出た感じはありました。ただ、それが不安材料になる事はありませんでした」
桜花賞当日もレース前は落ち着いていて、自信を持って臨めたという。しかし、ゲートが開いた直後、思わぬアクシデントに見舞われる事になる。単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されていたメジャーエンブレムは、少々躓いてしまったのだ。
「本来なら楽に先行するスピードのある馬なのに、躓いた事で後ろの位置取りになってしまいました。自分の形にならなかったんです」
結果、4着にとどまり、続くNHKマイルCを名誉挽回の舞台とした。
「アクシデントがあって桜花賞を負けてしまったけど、スピード能力が高い事は間違いありませんでした。だから、何としてもその本来のスピードを証明したいと思ってレースに臨みました」