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フィエールマンは競れば必ず勝つ。
天皇賞・春を連覇した勝負強さ。

posted2020/05/07 11:40

 
フィエールマンは競れば必ず勝つ。天皇賞・春を連覇した勝負強さ。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

フィエールマンが届き切っての天皇賞・春連覇。菊花賞と合わせてGI勝利すべてが京都の3000m以上という珍しい馬だ。

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph by

Yuji Takahashi

「平成の盾男」が武豊なら、「令和の盾男」はこの騎手になるのか。

 無観客で行われた第161回天皇賞・春(5月3日、京都芝外回り3200m、4歳以上GI)を、クリストフ・ルメールが騎乗した1番人気のフィエールマン(牡5歳、父ディープインパクト、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝。

 ルメールは、2018年の天皇賞・秋のレイデオロ、昨年の天皇賞・春のフィエールマン、天皇賞・秋のアーモンドアイにつづき、前人未到の天皇賞4連覇を達成した。

 武のキセキが1周目のスタンド前でハナに立ち、レースを引っ張った。

 最初の1000m通過は1分3秒0と遅かったが、1000mから2000mまでは1分0秒4とペースアップした。

 そうした流れのなか、ルメールのフィエールマンは、先頭から10馬身以上離れた中団の少し後ろに控えた。向正面半ばを過ぎて、外からミッキースワローがかわして行っても、動こうとしなかった。

「ずっといいペースだったので、けっこう楽勝だと思っていました。フィエールマンはリラックスして走ったら、最後にすごくいい脚を使うことができる。だから、長い距離で後ろのポジションを取りたかった。外枠だったから、プレッシャーなしで乗れました」

 ルメールはそう振り返る。傍目にはハラハラするぐらい前と差がひらいていたのだが、当人は落ちついていたようだ。

並んだところがゴールだった。

 3、4コーナーを回り、ラスト600m地点でも、まだルメールは手綱を抑えていた。

 4コーナー出口付近でようやくルメールの手が動き、直線で外に持ち出し、スパートをかけた。

 先頭はキセキ。それをスティッフェリオがラスト200m付近でかわし、先頭に躍り出た。

 その外からフィエールマンが猛然と追い上げる。しかし、スティッフェリオの伸びもいい。

 ラスト100m地点では届かないかに見えたが、フィエールマンは1完歩ごとにスティッフェリオとの差を詰める。

 ゴールまで残り10完歩ほどのところで2頭の差は1馬身を切った。激しく叩き合い、2頭が完全に横並びになったところがゴールだった。

【次ページ】 つばぜり合いになったら必ず勝つ。

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