NHKマイル、逃げ切り劇の裏側。

　レース前、管理する田村康仁調教師から「状態はベリーファイン」と聞いていた。そして、当日またがると、実際にその良さを感じたと言う。

「すごく良い状態で、返し馬もゲート裏での輪乗りも何の不安も感じる事なく終える事ができました」

　気をつけたというスタート、今度は躓く事無く決めると、ハナを切ってみせた。

「気持ち良く逃げた分、最後は追い上げをくらいました」

　それでも4分の3馬身差を保ちゴール。桜花賞の雪辱を果たしたが、ゴール直後の鞍上の心中は、実は穏やかではなかったと言う。

「2着（のロードクエスト）とは内外が離れてのゴールになりました。だから、正直、勝っているか負けてしまったか判断出来ませんでした。（ロードクエスト騎乗の）池添（謙一）さんに聞いても『分からない』というので、ウイニングランはしないで戻ろうと思いました」

　しかし、そこでコース脇に立っていたJRAの係員に勝利を知らされた。そして、ウイニングランをして戻ったのだと言う。

「スピードを生かす戦法は同じ」

　さて、それから4年の月日が流れた。冒頭で記したようにルメール騎手は、メジャーエンブレムと同じダイワメジャー産駒のレシステンシアとNHKマイルCに挑む。

　今年は残念ながら無観客競馬となるため、勝ったところでウイニングランはないのだろう。1週前追い切りで今年のパートナーにまたがったルメール騎手は言う。

「メジャーエンブレムとは体格も走りも違う感じでした。でも、持ち前のスピードを生かすという戦法は同じです。結果も同じになる事を期待しています」

　現在3年連続でリーディングジョッキーを継続中の男が見事に誘導してくれる事を願いたい。