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NBAスカウトから見た渡邊雄太。
忖度なしの評価、来季の動向は?
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2020/05/08 11:40
依然としてリーグ再開の見通しが立たないNBA。2ウェイ契約の最終年を迎える渡邊雄太は岐路に立たされている。
総合的なレベルアップが求められる。
NBAでは典型的な3-Dプレイヤー(3Pシュートと守備力に特化したスペシャリスト)の渡邊にとって、フィジカル改善と3Pの精度向上は必須事項としてこれまでも盛んに指摘されてきた。フィジカル面はかなり強化され、強靭なNBAプレイヤー相手にも押されることは少なくなった印象もある。それでもスカウトの意見では、NBA定着に向けてまだ強化が必要だという。
冒頭で述べた通り、FG、3Pの成功率を上げたことは今季最大の収穫だった。ただ、アップ&ダウンが激しいという言葉は頷けるし、まだまだ積極性不足のきらいもある。スカウトの「3Pは最も成長が望める部分」という言葉は、渡邊のロングジャンパーがまだまだ発展途上であることを示しているのだろう。
世界最高の舞台で戦っていくためには、クイックネス、ボールハンドリング、リバウンド力なども課題として挙げられており、総合的にまだまだレベルアップが必要ということか。今季、プレーオフ圏内に入るほど躍進したグリズリーズで、なかなか役割を確立できなかった理由をそこに見出すこともできる。
「25歳ながら、伸びしろは感じさせている」
プロスペクトとしてはもう若いとはいえない25歳の渡邊は、来季以降、これらの課題を少しずつでも克服し、NBAで生き残れるのか。最後にベテランスカウトに渡邊の今後の見通しを尋ねてみた。
「現在の雄太はNBAに残れるかどうかギリギリのところにいる選手だ。ただ、もう25歳という年齢ながら、依然として伸びしろは感じさせている。上記の課題の幾つかを克服すれば、NBAでもローテーションに入るだけの選手になる可能性はある。今後もPFでもプレーするだろうが、体型を考慮に入れればやはりSFとしてのスキルを向上させることが望まれる。
付け加えると、アンセルフィッシュで聡明なハードワーカーの雄太は、コーチや同僚たちから気に入られているように思える。ロールプレーヤーとして、それは一般的に思われているよりも大切な要素だ」