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NBAスカウトから見た渡邊雄太。
忖度なしの評価、来季の動向は?

posted2020/05/08 11:40

 
NBAスカウトから見た渡邊雄太。忖度なしの評価、来季の動向は?<Number Web> photograph by Getty Images

依然としてリーグ再開の見通しが立たないNBA。2ウェイ契約の最終年を迎える渡邊雄太は岐路に立たされている。

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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 新型コロナウイルスの影響でNBAシーズンは中断し、メンフィス・グリズリーズとの2ウェイ契約も2年目を迎えた渡邊雄太のシーズンはこのまま終わる可能性が高い。グリズリーズはプレーオフ圏内にいるが、本契約を与えられない限り、たとえポストシーズンが行われたとしても、2ウェイ契約の選手は出場できないからだ。

 今季の渡邊はGリーグ(マイナーリーグ)のハッスルでは22戦で平均17.2得点、5.7リバウンドという優れた成績をマークした。特に課題とされたシュートの精度が向上し、昨季は43.4%だったFG成功率を54.2%に、33.3%だった3P成功率を36.4%まで引き上げたのは評価されて良い。ただ、肝心のNBAでは16戦の出場に留まり、1.9得点、1.1リバウンドという1年目をも下回る成績にとどまっている。

NBAベテランスカウトによる分析。

 このようにGリーグではトップレベルの数字を叩き出しながら、NBAではまだ目立った実績を残せていない25歳を現地の専門家はどう見ているのか。近い将来、NBAでもまとまったプレー時間を確保できるだけの素材と目されているのか。

 今回、メンフィス近郊在住で、ハッスルのゲームによく顔を出していた某NBAチームのスカウトから、渡邊のスカウティングレポートを特別に公開してもらった。この人物の所属チームと名前は記せないが、それゆえに日本メディアに対しても遠慮のない評価が聞ける。過去2年、渡邊を間近で観てきたベテランスカウトの記述からは、渡邊の長所と、まだ足りないものが分かりやすく見えてくる。

「雄太は多才でバランスの良い選手だ。いわゆる“Tweener”で、スモールフォワード(SF)とストレッチ4(外角からのシュートが得意なパワーフォワード(PF))の両方の役割をこなすことが可能。走力、ジャンプ力もあり、3ポイントシュート、ドリブルからの中間距離のシュート、ゴール周辺のフィニッシュで得点が稼げる。ボールを持たない際にはクレバーに動き、カッターとしても有用。SFとして貢献できるだけのパス力、ボールハンドリング力もある。ディフェンス面の知識、規律がしっかりしており、常にハードにプレーする。サイズに恵まれたPFをガードする際にはパワー面で見劣りはするが、一方でオフェンス時にはストレッチ4としてマッチアップ・プロブレムを生み出せる」

【次ページ】 渡邊にとって「Tweener」は褒め言葉。

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