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田舎の公立校からBリーグMVP
田中大貴が目指してきた「万能性」。

posted2020/05/12 08:00

 
田舎の公立校からBリーグMVP田中大貴が目指してきた「万能性」。<Number Web> photograph by AFLO

今季は39試合出場で1試合平均11.1得点、4.8アシスト、1.6スティール。筆者とは同姓同名。

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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AFLO

 生徒数は数十人。小さな小学校だった。クラブはバスケットボール部だけ。

 そんな長崎の田舎で全国を夢見て、朝から晩までバスケットボールを離さなかった少年が今季、Bリーグの頂点に立った。

 創設4年目となるBリーグの2019-20シーズン、年間最優秀選手賞(MVP)はアルバルク東京の28歳、田中大貴が受賞した。

「小さな町、田舎の公立学校からでも日本を代表する選手になれる。そんな姿を全国でバスケを愛する少年たちに見せられたら」

 田中には、常にこんな思いがあった。両親はもちろん、小中高とバスケを指導してくれた恩師たちが「全国で勝負してこい、そして日本代表になれ」と背中を押してくれた。

 地元の進学校である県立長崎西高校から、最もレベルの高い場所で勝負することを決意し、バスケットボールの名門・東海大学へ進んだ。故郷で思い描いた「日本を代表する選手になる」という夢は年々、強くなっていった。

魂がこもっていた寡黙な青年の言葉。

 田中が東海大学3年生の時、インタビューさせてもらったことがあった。

「大学の頂点に立ち、そして日の丸を背負いたい。日本のバスケットを象徴するような選手になりたい」

 当時21歳、控えめで寡黙な青年という見た目の印象とは裏腹に、語気は強く、彼の言葉には魂が宿っていた。そして、インカレで当時は大学バスケットボール界のスターだった比江島慎を擁する2連覇中の青山学院大を撃破し、全国制覇を果たす。アルバルク東京に入団してからも、Bリーグでは3年連続ベスト5を受賞。着実にステップアップしてきた。

 普段は極度のきれい好き。愛車の中は塵一つなく、本人も「潔癖症」と認める。字も達筆で、所作は美しい。お肉が大好きで、焼肉の話をしている時は表情が緩む。

 しかし、練習をとにかく大事にする。というより、練習に充てる時間をとにかく大切にする。プライベートでの姿を見ていると、彼にとって話すことや動くこと、すべてをバスケットボールに繋げていると感じる。

【次ページ】 概念にとらわれないような選手に。

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