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フィエールマンは競れば必ず勝つ。
天皇賞・春を連覇した勝負強さ。 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2020/05/07 11:40

フィエールマンは競れば必ず勝つ。天皇賞・春を連覇した勝負強さ。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

フィエールマンが届き切っての天皇賞・春連覇。菊花賞と合わせてGI勝利すべてが京都の3000m以上という珍しい馬だ。

つばぜり合いになったら必ず勝つ。

 勝ったのは、ゴールに飛び込む最後の完歩で、首をぐっと下げて前に出したフィエールマンだった。僅かに鼻差の勝利。4カ月半の休み明けで、不利な大外14番枠からのスタートでありながら、史上5頭目の春の盾連覇をなし遂げた。

「前の馬が頑張ったので、最後までファイトしなければならなかった。スムーズな競馬ができたので、最後はフルパワーを出すことができました。休み明けでトップコンディションではなかったけど、手塚厩舎がいい仕事をしてくれました」

 そう話したルメールは、ドバイターフでアーモンドアイに乗るため早めに現地入りしたがレースが中止に。日本に戻ってからも2週間自宅待機となり、1カ月ほどレースに騎乗できない時期があった。

 フィエールマンにとっては、勝利自体が昨年の春天以来だった。昨年10月の凱旋門賞では最下位の12着に沈み、池添謙一が騎乗した有馬記念(ルメールは9着のアーモンドアイに騎乗)では復活の兆しを見せたものの、4着に終わっていた。

 これがGI3勝目。菊花賞が鼻差、昨年の春天が首差、そしてこの春天が鼻差と、すべてが接戦。それはつまり、最後のつばぜり合いになったら必ず勝つという勝負強さの現れでもある。

次走は宝塚記念?

 手塚調教師は、レース前にルメールと、折り合いを考えて後ろから行こうと話していたという。

「そのとおりに乗ってくれましたね。3200mを連覇しましたが、これがベストだとは思っていません。もっと短い距離のほうが、切れ味を出せると思います」

 次走は6月28日の宝塚記念を視野に入れているようだ。

 もし、出走するようなら、サートゥルナーリア、グローリーヴェイズ、ラッキーライラック、そして、アーモンドアイとも激突するかもしれない。ルメールがどの馬に乗るかも含めて、楽しみだ。

 なお、今年の天皇賞・春の売上げは168億7096万6000円で、前年比88.0%だった。

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