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ジョンソン首相、ペップ母に名選手。
欧州の有名人コロナ禍に乱れる心。
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byGetty Images
posted2020/05/06 08:30
入院ののち、公務に無事復帰したジョンソン首相。有名人が感染する前から警戒は強かったというが、大きな衝撃が走ったという。
銀河系の礎となったレアル元会長が。
見えないウイルスの牙はスポーツ界にも例外なく襲いかかっている。
欧州サッカー界では各国がリーグを中断し、内部に感染者が出るクラブも少なくない。吉田麻也が所属するイタリアのサンプドリアでも選手の感染が発覚した。この記事を書いている4月29日時点ではオランダが今季のシーズン打ち切りを決め、フランスも再開を断念する方針。欧州サッカー連盟(UEFA)の意向を背景に他国は残り試合の消化を目指しているものの、先行きは明るくない。
奪われた命もあった。
スペイン1部リーグ、レアル・マドリーの元会長だった実業家のロレンソ・サンス氏。1995年から2000年まで会長を務め、国内リーグで1度、欧州チャンピオンズリーグでは1997~98年の32シーズンぶり制覇を含む2度のタイトル獲得に成功した。
クラブの財政難もあり、2000年の会長選でフロレンティーノ・ペレス氏に敗れた。その後、クラブはフィーゴ、ジダン、ロナウド、ベッカムら外国人のスター選手をかき集めた「銀河系軍団」で一時代を築くことになる。
サンス氏は3月21日、マドリード市内の病院で息を引き取った。76歳だった。4日前の17日に入院したが、病状が悪化。感染の危険があるため家族は面会もできず、葬儀さえ許されなかったという。
息子のロレンソ・ジュニア氏はツイッターにやり切れない思いをつづった。「こんな最期は父にふさわしくない。あれほど親切で勇敢で、ハードワークをいとわない人はいなかった」
ペップの母の死にライバルも哀悼。
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティは4月6日、名将グアルディオラ監督が母のドロルス・サラ・カリオさんを新型コロナ感染で亡くしたと発表した。82歳だった。「ペップ」の愛称で知られる息子は3月、母国スペインの新型コロナ対策を支援するため、100万ユーロ(約1億1500万円)を寄付したばかりだった。
訃報に接し、マンチェスター・シティのライバルであるマンチェスター・ユナイテッドや、バルセロナの宿敵レアルも、公式ツイッターで哀悼の意を表明した。