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野茂英雄メジャーデビューから25年。
永遠に語り継がれるべき歴史的1日。 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byGetty Images

posted2020/05/02 20:00

野茂英雄メジャーデビューから25年。永遠に語り継がれるべき歴史的1日。<Number Web> photograph by Getty Images

25年前の1995年5月2日、ジャイアンツ戦に先発したドジャースの野茂英雄。5回1安打7奪三振で無失点と鮮烈なメジャーデビューを果たした。

警察に護衛されて向かったデビュー戦。

 デビュー前日もちょっとした騒動が起こった。

 ドジャースのクラブハウス前は報道陣でごった返した。ご承知の通り、メジャーリーグは練習前のロッカールームをメディアの取材用に公開しているが、当時の野茂は球団が設定した席以外での取材には対応しなかった。これは大谷翔平の今も同様だが、それでも集まったメディアは何か情報を探ろうとクラブハウス周辺に集まっていた。

 その中、野茂が練習のためフィールドに出ると、あっという間に報道陣に取り囲まれた。まさに民族大移動。立往生しながら苦笑する当時26歳の若き投手。すると、翌日のデビュー戦ではこんな光景に出くわした。

 クラブハウスからダグアウトに向かう野茂の両脇をサンフランシスコ市警のポリスが固めている。警察官に護衛されながらデビュー戦に臨んだ選手がいたであろうか。晴れやかな記念すべき日でありながら、一方で何か重たい空気も確実に流れていた。

3連続四球、三振ショー。

 だが、マウンドに上がれば野茂は野茂だった。メジャー第1球は拘りの直球が内角低めに決まった。しかし、判定はボール。いきなり受けた主審からの“洗礼”も彼は表情ひとつ変えない。淡々とボールを投げ込み、カウント2-2からのフォークボールにルイスは見逃し三振。メジャーデビューを見事三振でスタートさせたのだった。

 この後、簡単に2アウトを取ったが、3番・ボンズから3連続四球で2死満塁のピンチ。ハラハラドキドキの投球は日本時代同様。ここで6番ロイス・クレイトンをフォークボールで空振り三振に仕留め立ち上がりを切り抜けた。

 デビュー戦は5回、91球、1安打、4四球、7奪三振、無失点の好投。白星こそつかなかったが、鮮烈なデビューを飾った。その中、当時のメジャーリーグを表す“おおらかな”シーンが目についた。

 それは女房役、マイク・ピアザ捕手の捕球体勢にあった。フォークボールのサインでは、走者がいるいない、カウントにかかわらず、彼の腰がスッと高く浮く。“絶対に後ろへは逸らさない。捕手の仕事は投球を完全ブロックすること”という基本を忠実に守りぬいたかたちだが、こちらからすれば投げる前からフォークボールが来ることが百発百中でわかった。

 それでも当時のメジャーは、その姿から球種を読むといった姿勢や伝達行為は一切なかった。“おおらかさ”を感じた反面、これが“メジャーのプライドなのか”、と感じたものだった。

【次ページ】 「これ以上、何を望めばいいと言うんだい」

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