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日韓W杯後、中村俊輔のセリエ挑戦。
あの夏の南イタリアで感じた焦熱。 

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杉山孝

杉山孝Takashi Sugiyama

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photograph byGetty Images

posted2020/05/07 11:50

日韓W杯後、中村俊輔のセリエ挑戦。あの夏の南イタリアで感じた焦熱。<Number Web> photograph by Getty Images

日韓W杯落選を経てのレッジーナ加入。ここから中村俊輔は大きな成長曲線を描いていく。

試合後、敵将クーペルが称えた。

 試合後、敵将エクトル・クーペルは「素晴らしいレフティだ」と俊輔を評した。「1人ひとりの能力が高いと感じた」「決まったのは良かったけど、負けてしまっては意味がない」。普段以上の悪筆で俊輔のコメントも書きなぐり、計4週間の取材は終了した。ノートは、1ページを残すだけになっていた。

 あれから、20年近く。当時、新聞社に勤める会社員だった私は、専門誌の編集部を経て、いまもフリーランスのライターとしてスポーツの世界の端をふらついている。

 当時、世界最高峰だったセリエAの雰囲気。北部とはまったく違う、南イタリアの焦熱。

 白紙で残したノートのラスト1ページに、熾火のように余韻がくすぶり続けたのかもしれない。あの夏のイタリア半島のつま先には、少なくとも1つくらいの人生を狂わせるだけの熱があった。

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