オリンピックへの道BACK NUMBER
一度は東京五輪を「夢物語」と……。
内村航平なら1年延期を糧にできる。
posted2020/05/05 09:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Naoto Akasaka/AFLO
今夏に予定されていた東京五輪が延期されたことは、アスリートに大きな影響を及ぼしている。
大会から逆算して強化を図ってきたスケジュールが狂い、いや、練習すらままならない状況がある。
ピーク作りは容易ではない。1年の延期は、ただの1年ではない。
ベテランの域にある選手には、なおさら影響は大きいかもしれない。東京五輪を集大成の場として考えていた選手、東京五輪があるからこそ、競技生活を継続してきた選手……体操の内村航平もその1人だ。
日本での五輪開催がモチベーションに。
今年1月に31歳の誕生日を迎えた。体操の世界では、大ベテランの域にある。
2012年のロンドン、2016年のリオデジャネイロと、五輪で個人総合連覇も果たした。年齢そして積み重ねたキャリアを考えれば、本来なら、引退をしていてもおかしくはない。でも、競技を続けてきた。
「東京ですから」
五輪が日本で開催されることが、継続のモチベーションだった。
ただ、ここまでの道のりは容易ではなかった。
リオの翌年の世界選手権では、跳馬で負傷し棄権。個人総合は6連覇で途絶えることになった。
その後も身体の悲鳴と戦い続けたが、ダメージは隠しようもなかった。
昨年は、両肩痛の影響もあって代表選考対象大会で成績を残せず、世界選手権の日本代表から外れた。