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村上茉愛ら引退で世代交代…「わがままで甘えん坊」「正確だけど泣き虫」 体操女子10代トリオの“スゴいクセと伸びしろ”〈14歳新星も〉
posted2022/06/02 06:00
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
多くの競技と同様、東京五輪があった2021年から2022年にかけては、日本体操界にとっても大きな節目になった。
男子は「キング」内村航平、女子は村上茉愛、寺本明日香、畠田瞳が現役を引退した。世代交代の進み具合に目を向けると、東京五輪で個人総合と鉄棒の2冠に輝いた橋本大輝がいる男子と比べ、女子は世界選手権でいくつもメダルを獲得した村上に肩を並べられるような選手が見当たらない。
とはいえ、新たに日本の看板を背負うことになったメンバーは、実に個性豊か。長所も短所も豊富で、魅力あふれる彼女たちを、主に指導者の目線から紹介してみる。
体操選手にとって今年最も大きな舞台は、英国のリバプールで10~11月に行われる世界選手権になる。男女とも団体総合でトップ3に入れば、早くも2024年パリ五輪の代表枠が獲得できる。日本代表は男女各5人。5月15日まで行われたNHK杯までに3人ずつが決まった。
男子は実績で内定していた橋本に加え、神本雄也と土井陵輔が代表入り。女子はいずれも初出場になる宮田笙子(鯖江スクール)、笠原有彩(レジックスポーツ)、山田千遥(朝日生命ク)。宮田と笠原は17歳、山田は19歳の若さだ。
最もクセがスゴい宮田は脚力と「性格」が武器?
3人の中で最も「クセがスゴい」と言えるのは、宮田かもしれない。まず、日本では珍しく脚力が武器で、跳躍系の跳馬とゆかが強い。ゆかは村上の代名詞だったH難度の大技シリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)も練習している。ただ、周囲の評価を聞いて回ると、その個性の強さを指摘する声が多い。
例えば、自身の引退試合となった4月の全日本個人総合選手権で寺本はこう話していた。
「上の方にいる子たちは、みんな個性的。(うまく)まとまるかは分からないけど、いい感じで化学変化は起きると思う」
どの辺りが個性的なのか。
「性格(笑)。自分の軸をしっかり持っていて、そこに向かって一直線にやる子が多い。私はいいことだと思うけど、団体戦になるとその辺りで大変になることが出る時もある。そこをどううまくやって、選手のいいところを出せるのかなとは、ちょっと思います」
個人名は出さず、言葉を選びながらも上位陣の評価を語ってくれた。
はっきり言うと、わがままなタイプだけど
一方、オブラートに包まず、報道陣の問いかけに「ど真ん中の直球」で返してくれたのが、普段から宮田を指導する鯖江スクールの田野辺満コーチだ。
宮田は中学3年の時、地元京都のクラブから鯖江スクールに移った。当時から意識して指導する点を問われると、田野辺コーチはこう答えた。