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日本史上初、世界ランク2位に!
伊藤美誠が目指す「無敗の女」。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byXinhua/AFLO
posted2020/04/20 18:00
カタールオープン準決勝では、丁寧に4-0のストレート勝ち。第3ゲームを11-0のラブゲームで破ったことも話題に。
「みまパンチ」をはじめ様々な技を。
こうして世界ランキングを3位まであげていった伊藤は、今年2月のハンガリーオープンで優勝、3月のカタールオープンで陳夢(中国、世界ランク1位)に敗れたものの準優勝を果たし、順位を1つ上げ、2位となったのである。
「どの選手に対しても、自分がどんな状態であっても勝てるように、もっともっと頑張ります」
とコメントしているが、すでに2019年1月までに、調子を上げて好成績を残していた。そこからさらに上昇曲線を描くことができたのがこの1年だ。
1つには技術の進化がある。
もともと、独特のテイクバックから放つフォアハンドのカウンター「みまパンチ」をはじめ、オリジナリティのある選手だが、試合中にまるで試すかのように、さまざまな技を繰り出してきた。
サーブもまた、世界でもトップと言っていいほどの多彩さを備えるようになったのも、貪欲なまでに技に取り組んできた成果だろう。
中国勢が恐れ、特別に対策を練る。
また、試合の中で、多彩な技をどういかすか、そのアイデアも豊かだ。
昨年、テレビに出演した際、伊藤はこう語っている。
「私は私だけの卓球だと思うんです」
「私の技術を真似するというのはできないと思います」
それらの言葉は、試合で見せるプレーによって裏打ちされている。中国勢が、最も恐れるべき選手として特別に対策を練り、研究を続けている理由でもある。
2018年頃から中国の選手との対戦が増え、中国の選手への特別な意識が薄れていったことも大きいだろう。
結果、この1年は中国勢に対する勝率は40%を優に超えるまでに至った。メンタル面の成長も大きい。