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志村けんさんとFC東京の一期一会。
「変なおじさん」味スタ降臨秘話。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/04/19 11:50
2014年3月8日、味スタに現れた「変なおじさん」。スタンドのサポーターはもちろん、選手も審判も笑わずにはいられなかった。
東京ドロンパのヒゲダンスを優しい笑みで。
一期一会。
志村けんさんがFC東京のイベントに参加したのは、この1日この1回だけ。
だがその後も「縁」は続いていた。
2014年12月には映画『妖怪ウォッチ』とのタイアップイベントを行なった際に、ゲスト声優として出演した志村さんにチームへの応援メッセージをもらっている。
翌年、雑誌の公認マガジンにおいても同様である。
志村さんは日常の会話のなかでもFC東京でプレーしていた久保建英の話題を自ら切り出すなど、何かと気に掛けていたとも聞く。
高校時代はゴールキーパーを務めていたが、「あまり真面目にやっていなかったから」とサッカー経験者であることを大っぴらにしなかったそうだ。
しかし、サッカーとの縁、FC東京との縁を志村さんが無下にすることはなかった。
だっふんだ!
あの日、味スタにいる誰もが心のなかで喜んでずっこけた。
ようやく結ぶことができた大切な縁。志村さんが亡くなってすぐに追悼のコメントを発表したことからも、FC東京にとっていかに大切な存在だったかが良く分かる。
あの日、マスコットの東京ドロンパが踊ったヒゲダンスを、志村さんは優しい笑みを浮かべながら眺めていたという。
志村けんさんとのつながりを、これからもずっと、ずっと感じて――。