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志村けんさんとFC東京の一期一会。
「変なおじさん」味スタ降臨秘話。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/04/19 11:50

志村けんさんとFC東京の一期一会。「変なおじさん」味スタ降臨秘話。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

2014年3月8日、味スタに現れた「変なおじさん」。スタンドのサポーターはもちろん、選手も審判も笑わずにはいられなかった。

久留米高校サッカー部と知ってはいたが……。

 その後、ゴール裏から「志村、トーキョー」のチャントが起こった──。

 このイベントがどんなふうに進められ、実現していったのか。当時、志村さんが何かのイベントに出演するというケースはほとんどなかったため、まさかの味スタ来訪は関係者の間で「奇跡」とも言われた。

 企画に携わったFC東京の小林伸樹総合企画部長(当時は運営部長)にリモートでのインタビューをお願いした。

――志村さんをスペシャルゲストとして呼びたいと企画を立てたのは、何かきっかけがあったんでしょうか?

「いや、それまでも社内ではずっと候補には上がっていたんです。東京・東村山市のご出身ですから。

 久留米高校(現在は東久留米総合高校)サッカー部という情報も、もちろん持っていました。ただ大御所なので、社内でもお招きするのはなかなか難しいんじゃないか、と」

みんなが知っている志村さんの味。

――企画は上がるけど踏み出せない、と。それがこのときばかりは。

「実は志村さんの所属事務所の方がFC東京を応援いただいていることが分かって、その縁もあって接点を持つことができたのです。事務所の方に相談させていただいて、東京を盛り上げたいという思いを伝え、志村さんのスケジュールもなんとか押さえていただいて、やりましょうとなりました。事務所の方も志村さん本人からすんなりとOKが出るとは思っていなかったそうです。FC東京は地元だからというのも少なからず理由としてはあったんじゃないか、と」

――コントをやってもらうこともリクエストしたのでしょうか?

「大御所の志村さんに“ああしてほしい、こうしてほしい”というのはなかなか言えません(笑)。

 ただ、FC東京がどんなイベントを行なっているのか、事務所の方もよくご存じだったので助かりました。当初は、ユニフォームを着て応援メッセージをいただくという話でしたが、ご本人からの希望もあり、みんなが知っている志村さんの味を出せるものという感じで、自然と(コントに)なっていきましたね」

【次ページ】 無口だった志村さんがパッとスイッチを入れた。

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