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クロカンスキーの鉄人・石田正子は
新型コロナにも世界の壁にも屈せず。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2020/04/12 08:00
北海道美幌町出身の石田正子(JR北海道スキー部)。昨年11月のW杯の10kmクラシカルでは9位を獲得した。
「世界で戦える」と信じた日本で最初の選手。
受け取ったイタリア人のファビオ・ギザフィは、のちにこう振り返っている。
「最初は驚きました。でも嬉しかったですね。『世界で戦える』と信じた、日本で最初のクロスカントリースキーヤーじゃないでしょうか」
そんな行動力とともに、2006年のトリノ大会以降、2018年の平昌まで4大会連続でオリンピックに出場。2010年のバンクーバーではアジア選手として史上最高の5位入賞を果たした。
世界選手権には2003年以来、昨年まで9回連続出場、数々のレースを走り、6度入賞を果たしている。
そして今なお、日本のエースである。
「鉄人」と称されることも。
現在は39歳。今年11月に40歳を迎える。相対的に競技寿命の長い競技ではあっても、石田の競技人生はだいぶ、長くなった。「鉄人」、そんな形容を目にしたこともある。
当の本人は苦笑する。
「いえいえ……。新しい課題がどんどん出てくるので、それに向かって解決するように頑張ってきての現在だと思います」
こんなエピソードを語る。2018年、37歳で出た平昌五輪の最後の出場種目、30kmクラシカルを10位で終えた直後、スウェーデン人のワックスマンに、技術面での課題、改善点を指摘されたのだと言う。
「まだできていないこともありますから」
課題はのびしろでもある。
歩んでいく中で成長も感じている。
「(2014年の)ソチ(五輪)から何が変わったかというと、例えば、筋力は強くなりました。体重はかわっていないけれど、明らかに変わりました」
トレーニングの工夫がもたらした成果だろう。