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協会もレアルも「困ったらイエロ」。
“銀河系”を支えた名DFの献身と情熱。
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph byFirto Foto/Getty Images
posted2020/04/13 11:30
フィーゴ(中)らスターを揃えた“銀河系軍団”レアル・マドリーを牽引したイエロ(左)。マケレレと共に、攻撃編重のチームを支えた。
どこに行っても「困ったらイエロ」
「フットボールはバランスが大切なスポーツだ」
取材中、度々聞かれた「バランス」という言葉は、ある意味で自身への戒めであり、抑圧された情熱的な部分ゆえの発言かもしれない、と感じさせた。
本人から受けた印象では、指導者や監督にしがみつくという様子は一切なかった。ピッチを離れれば物静かで、大騒ぎするタイプでもない。裏方でチームや国のために献身的に動くことも苦にしない男なのだ。世間から注目を浴びたり、自身が前に出ることは好まない。そんな性格の持ち主だからこそ、協会でもクラブでも「困ったらイエロ」の方程式が成立する。引退後身につけたバランス感覚で、今後も渡世を送っていくのかもしれない。
だが、願わくばビッグクラブや代表とは一線を画すしがらみが少ない世界で、再び指揮官として発破をかけるイエロの姿も見てみたいとも思う。現役時代に見せたリーダーシップで、地方クラブ辺りの指揮官として、魅力あるチームを作り上げてくれないかと密かに期待を寄せている。そんな情熱的で泥臭い姿も、彼本来の魅力であるという気がしているのだ。