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ペレ、メッシ、ロナウドを滅多切り!
マラドーナ、10大舌禍事件を検証。
text by
ジャンマリー・ラノエJean-Marie Lanoe
photograph byL'Equipe
posted2020/04/07 11:40
長年比較され続け、ペレに対して怒り、悲しみ、そして時には病床のペレを応援したマラドーナ。
「どうして僕とペレを比較しなければならないのか?」
(9)ダニエル・パサレラについて
「パサレラは、選手たちが自分の髪を触りすぎるから、全員に短く刈るように命じた。でも選手は尻もよく触る。選手にケツも刈れと彼は命じるのか?」
1994~98年にアルゼンチン代表監督を務めたダニエル・パサレラは、規律の厳しさで有名だった。1998年ワールドカップでアルゼンチン代表を取材したものたちは、パサレラのほぼ完ぺきな報道規制を今もよく覚えている。選手にストレスを与えないためと称し、取材エリアは3m四方の小さなスペースに限られていた。ディエゴの言葉は間違いではなかったのだった。
(10)ペレについて・その2、その3、その4……
「どうして僕とペレを比較しなければならないのか? 僕の母は僕のほうがいいと言っていたし、彼は動くことすら満足にできない選手たちと一緒にプレーしていたわけだろう」
マラドーナは老人が好みではない。それはすでに見てきたことだ。そして彼は自分の先達であるブラジル人を揶揄する機会を決して逃さない。すべての人生において、彼はこれからもずっとペレに挑みかかっていくのだろうし、ときにその矛先は別の人間――ペレと同類の名声を得ている“カイザー”フランツ・ベッケンバウアーなどにも向けられる。
「あいつらふたりはたまに博物館から出てきてはバカなことを言い出す。本物のアホウだ。石棺の中から蘇った異物が彼らだ」
さらに攻撃は続く。
「2000年に僕は20世紀最高選手賞を受賞しペレが2位だった。彼は20世紀最高のブラジル人アスリートの表彰でもアイルトン・セナに次ぎ2位だった。FIFAがペレに与えた賞(2000年12月に20世紀最高の選手として表彰)などちんけなお飾りにすぎない」
ではマラドーナは?
彼こそすべてを奔放に破壊しつくすF1マシンといえるかも知れない。