フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ペレ、メッシ、ロナウドを滅多切り!
マラドーナ、10大舌禍事件を検証。
text by
ジャンマリー・ラノエJean-Marie Lanoe
photograph byL'Equipe
posted2020/04/07 11:40
長年比較され続け、ペレに対して怒り、悲しみ、そして時には病床のペレを応援したマラドーナ。
「親愛なるルイス、僕らは君と共にある」
(6)ルイス・スアレスについて
「どうしてだ? 彼は誰かを殺したとでもいうのか? もしそうならば、どうしてグアンタナモ(アフガニスタン紛争やイラク戦争の際に、テロに関与していると見られた多くの人物が不当に監禁・拘束されたキューバにあるアメリカ軍基地)に直接収容されないんだ?」
マラドーナはしばしば疎外されたものに親近感を示す。ルイス・スアレスが2014年ワールドカップで、イタリアのジョルジョ・キエッリーニの肩に噛みつき9試合の出場停止処分を受けた際もそうだった。弁護士に早変わりしたマラドーナは、『デ・ズルダ(左利き)』というタイトルの、“歴史上最も優れた左利きたちを招待するテレビ番組”の中でスアレスを擁護した。「ルイジート(親愛なるルイス)、僕らは君と共にある」と書かれた白いTシャツ姿で現れた彼は、こう述べたのだった。
「FIFAの処分こそ本当に恥だ。FIFAで働く人々が聖人ばかりでないのは誰もが知っている。こんな処罰はまるでマフィアだ」
ディスティーノとクライフには頭が上がらない。
(7)クリスティアーノ・ロナウドについて
「ゴールを決めるたびにクリスティアーノは、(自分が宣伝する)シャンプーを売るためにテレビカメラを見ている」
ロナウドを高く評価するマラドーナだが、その高慢とも見える態度は彼にとって常に揶揄の対象でしかない。またロナウドをナンバーワンと位置づけるには少々異論があるようだ。
「クリスティアーノは史上最高の選手は自分だと言っているって? バカも休み休み言って欲しい。僕にとって史上最高の選手は(アルフレッド)ディステファノだ。さもなければクライフだ」
ふたりに対しては、さすがのディエゴも謙虚だった。
(8)リオネル・スカロニについて
「スカロニはいい奴だが、彼には交通整理すらできない。どうしてスカロニに代表を任せられるんだ! みんな頭は確かか? 彼は常に『私はOKだ』と言っているが、彼が(現役時代に)アルゼンチンのためにゴールを決めるのを私は見たことがない。バーベキューの友達としては素晴らしいが、テクニカル・ディレクターや代表監督として適任者ではない」
2008~10年にアルゼンチン代表監督を務めたマラドーナは、しばしば後継者たちに厳しい言葉で噛みついている。2018年10月17日、40歳の若さで代表監督に就任したリオネル・スカロニ――選手としてもボランチとして国際試合7試合に出場――も例外ではなかったのだった。