フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ペレ、メッシ、ロナウドを滅多切り!
マラドーナ、10大舌禍事件を検証。
posted2020/04/07 11:40
text by
ジャンマリー・ラノエJean-Marie Lanoe
photograph by
L'Equipe
『フランス・フットボール』誌の巻頭連載のひとつに「10の……」というのがある。ひとつのテーマについて10のトピック・エピソードを紹介するもので、例えば「選手の名前がついた10の通り」、「神話的な10のサッカーボール(過去に使われたサッカーボールのブランドで『テルスター』、『タンゴ』など)」、「冬以降に失速していった10の秋の王者」などである。
同誌2月4日発売号でジャンマリー・ラノエ記者が紹介するのはディエゴ・マラドーナについての「10の……」である。奔放なもの言いで現役時代からさまざまな物議をかもしてきたマラドーナの、舌禍の数々をラノエ記者は列挙している。
キング・ペレと常に比較され、サッカー史上最高の選手のひとりでありながら、マラドーナこそは自由奔放、思うがままに生きることを許されたサッカー界でただひとりの存在といえる。ドラッグ(はさすがに懲りているか?)も激太りも空気銃乱射も、彼にとっては人生の一部に過ぎないのだろう。それでいて、アルゼンチン代表監督もちゃんと(?)やり、ワールドカップにも出場している。
そんなマラドーナの口から発せられた言葉とは……。
監修:田村修一
40年前の戦争まで出しての問題発言など……。
(1)イングランド戦でのハンドについて
「僕はごく普通の人間で、マルビナス諸島の戦争(フォークランド紛争)で子供たちを殺した英国に対してゴールを決めただけだ」
昨年12月にアルゼンチンのTV局「TyCスポーツ」で放映された40分に及ぶインタビューの中でマラドーナはそう語った。ヒムナシア・ラプラタの監督を辞任して数日後のことである。
フォークランド諸島の領有をめぐり、両国の間に武力衝突が起こったのは1982年4月のこと。およそ40年前の歴史的事件を引き合いにだしての、相変わらずの問題発言であるともいえる。ではゴールそのものについて、彼はどう語っているのか。
「誓って言うけどピーター・シルトン(イングランドGK)との空中戦になって、僕は頭でボールを捉えた。それが実際に起こったことで、シルトンはゴールから前に出て拳を突き出した。僕は自分の頭でボールを叩いたと今も確信している。額に青あざができていたのが何よりの証拠さ。あのプレーは、マラドーナのヘディングと神の手の合作で成し遂げられたものなんだ」