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「金が王様」という状況の終わり?
コロナが変えたスポーツの優先順位。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2020/04/03 18:00
安全のために止めた以上、再開にはより大きな根拠、決断が必要になる。MLBもまた、先の見えないトンネルに入り込んでいる。
MLBが7月に開幕すれば万々歳?
MLBやNBAなどのスポーツイベントが再開されるのは、感染拡大が驚くほど劇的に止まって事態が好転するか、ワクチンが開発されて不安が取り除かれた時であり、それがアメリカ国内の話であれば、各自治体が「人が大勢集まるイベントの再開を認める」と宣言してからの話だ。
4月から6月までの3カ月以内に、そんな日が来るのだろうか?
イリノイ州知事が「外出禁止令」を延期した同じ日、6月29日から始まる予定だったテニスの全英オープン=ウインブルドンが中止になった。
ほぼ同じタイミングで、MLBが同月13日と14日に予定していた英国ロンドンで開催予定だった公式戦のカブス対カージナルス戦の中止を正式に発表した。
そのおよそ1週間前の3月25日、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは「私の楽観的な見方では、我々は5月のある時点で(開幕への)準備を整えることになるでしょう」と言っているが、「前言撤回」は確実な状況だ。
世界中でスポーツ・イベントの中止が連鎖的に起こる中では、MLBが7月開幕、後半戦81試合のみの開催になっても、それはむしろ歓迎すべき事態なのかも知れない。
F1が直面した開幕戦の直前中止。
たとえば自動車レースのフォーミュラ(F1)は、すでに3月の開幕戦オーストラリアGPの中止を含め、今から2カ月以上先の6月上旬に開催予定のアゼルバイジャンGPまでの8レースを延期もしくは中止にし、6月12日から開催予定の第9戦のカナダGPの開催も、危ぶまれている。
同GPのプロモーター、フランソワ・デュモンティエ氏は専門誌の取材に過日、こう答えている。
「我々は楽観的ではあるが、現実的でもある。我々は(予定通りの)日付に開催されること、シーズン最初のレースになることを望んでいるが、同時にイベントを延期するという違ったシナリオにも取り組んでいる」