熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
花見やK-1開催にブラジルで疑念が。
日本の特異さと本田圭佑のツイート。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/03/30 20:00
本田圭佑のブラジル初戦、試合前に選手は抗議の意味もかねてマスク着用でピッチに入った。この辺りも国による意識差なのかもしれない。
欧州各国の対応を踏襲した。
ブラジルでは各州における州選手権が1月中旬から、コパ・ド・ブラジルが2月初めから開催されていた。3月上旬になっても、これらの大会が通常通り進行していた。
しかし欧州のフットボール界、アメリカのスポーツ界では大きな動きがあった。
まず、3月10日と11日に予定されていたチャンピオンズリーグ・ラウンド16第2レグ4試合のうち2試合が無観客で行なわれ、17日と18日に予定されていた4試合が延期された。
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また12日にスペインのラ・リーガが大会を延期したのを皮切りに、欧州におけるすべての大会が延期された。これを受けて、欧州の全クラブが練習を含むすべての活動を停止した。
同じ日にNBAは今季の残り全試合の中止を、MLBはオープン戦の中止と開幕の延期を決めた。
ブラジルで事態が変わったのは、13日である。
厚生省の勧告を受けて、各州のサッカー連盟が週末の州選手権の試合をすべて無観客で行なうと発表した。
このため、15日の本田圭佑のブラジル・デビュー戦(リオ州選手権後期第3節バングー戦)も無観客試合に。選手らの健康と安全を考慮して、試合後のメディア対応は行なわれなかった。
この日、ブラジルサッカー連盟はコパ・ド・ブラジルの無期限延期を発表した。
そして翌16日、ブラジル各地の州サッカー連盟は、州選手権を月末まで中断すると発表(その後、中断期間を4月末まで延長)。この決定を受けて、国内全クラブが練習を含むすべての活動を停止した。欧州各国の対応を踏襲したのである。
フットボール界が断固とした処置。
また同日からサンパウロ州、リオ州などで小・中学校、高校が閉鎖。以後も映画館や劇場、レストランなど、食料品店と薬局を除く全店舗の営業が停止された。事実上のロックダウン(都市封鎖)である。そしてこの日、サンパウロで国内初の死亡者が確認された。
ブラジルでは、まずフットボール界が断固とした措置を打ち出し、それを追うようにして主要都市のロックダウンが行なわれた。ブラジル人は距離的にも心理的にも近いイタリア、スペイン、フランス、アメリカなどの感染急拡大を目の当たりにしたから、反対する声はほとんど聞かれなかった。
日本ではJリーグが中断され、プロ野球の開幕も延期されたが、練習試合(無観客)や練習は続けていた。これが欧米、中南米との大きな違いだ。