熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
花見やK-1開催にブラジルで疑念が。
日本の特異さと本田圭佑のツイート。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/03/30 20:00
本田圭佑のブラジル初戦、試合前に選手は抗議の意味もかねてマスク着用でピッチに入った。この辺りも国による意識差なのかもしれない。
花見、K-1開催に「違和感を覚える」。
3月14日、2月末から中断されていたBリーグが再開されたが、滋賀レイクスターズのアメリカ人選手3人が試合出場を拒否した。彼らは、NBAがシーズンの残り試合をすべて中止したことを知っており、Bリーグが一度は試合を延期しながら、無観客とはいえ再開したことに異議を唱えたのである(その後、Bリーグは今季の残り試合すべてを中止した)。
さらに、3月20日から22日までの三連休でかなりの人が花見に出かけ、K-1の興行に数千人が集まった。
このことはブラジルのテレビでも報じられ、アナウンサーは「違和感を覚える」と語っていた。なぜなら、そのようなことはもはや欧米、中南米では許されていないからだ。
ADVERTISEMENT
3月18日以降には阪神タイガースの3選手が嗅覚障害、味覚障害などを訴え、新型コロナウイルス陽性が確認されて入院した。そのうちの1人である藤浪晋太郎投手と大阪桐蔭高で同級生だった日本代表DF三浦弦太(ガンバ大阪主将)は、「サッカーでも(感染者が)いつ出てもおかしくはない」とのコメントを出している。
このニュースを知って頭をよぎったのは「やっぱり」という思いだった。日本のスポーツ界の新型コロナウイルスへの対応が全般に緩いと感じていたからである。
全スポーツを停止すべきと思ったが。
実を言うと当初、この記事では「日本のJリーグもプロ野球も即刻、練習試合や練習を含むすべての活動を停止すべきだ」と書くつもりだった。
しかし新型コロナウイルスについての情報を集めるうち、少し考えが変わった。
日本の厚生労働省が提供するデータが正しければ3月末現在、日本は世界の主要国の中で人口当たりの感染率、死亡率が低い。
感染率が低いのはPCR検査を受けるハードルが高いせいでもあるだろうが、死亡率が低いのは間違いなさそうだ。これは、以前から日本ではマスクを着用し、頻繁に手洗いをする習慣が根付いており、ほとんどの人が一層励行しているからだろう。
ただそれと同時に、政府はこれまで強硬な外出禁止令を出さなかった。若者を中心に何らかの接触でウイルスを保有し、自分の家族や友人、そして他人に感染させる可能性があることを認識してほしいとも思う。