酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
プロ野球最強打者を番付にすると。
イチロー&松井は日米通算ならば。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKoji Asakura
posted2020/03/24 11:40
オリックスでも圧巻の成績だったイチロー。ただし今回はNPBの通算塁打数に限定したので番付には入っていない。
金本、落合、阿部、そして福本も!
そして小結は、左が金本知憲。平成以降では通算最多安打、最多本塁打、最多打点と“三冠王”である。右はミスター広島、山本浩二が名を連ねた。
前頭上位も見てみよう。左筆頭には史上最多1065盗塁の福本豊が入ったのが興味深い。スラッガーではないが、2543安打に加えて史上2位の449二塁打が数字を押し上げた。右筆頭は、三冠王3度の落合博満である。
左2枚目は、昨年まで現役だった阿部慎之助である。阿部が偉大なのは、キャリアの大半を捕手としてプレーしたことだ。野村克也同様、数字に表れない部分も含めてその功績は大きい。右2枚目は近鉄、西武で活躍した強打者の土井正博が入った。その後も小笠原道大、清原和博ら左右ともに名スラッガーが並ぶ。
ローズ、ラミレスが残した足跡。
この番付は「長期間NPBでプレーして数字を積み上げた選手」が上位に来る。だからキャリア半ばでやってくる外国人選手には不利だ。
三冠王2度のランディ・バース(1457塁打)、シーズン60本塁打のウラディミール・バレンティン(1962塁打)も入ってこない。
その中で唯一入幕しているのがタフィ・ローズである。ローズは王貞治と並ぶ55本塁打を記録している。それも偉大だがNPBで13シーズンにわたってプレーし、外国人初の1000打点などの記録も樹立している。
右十両3枚目の現DeNA監督のアレックス・ラミレスは外国人でただひとり2000安打を記録しており、彼も偉大な選手だった。
日本プロ野球は第二次世界大戦で中断している。そのため、戦前の選手は兵役や疎開でキャリアを断絶されているし、戦没者も多い。川上哲治はそんな戦前派の中で唯一2000安打。山内一弘や野村克也など戦後派の強打者が台頭するまで、主要な打撃通算成績は川上が持っていた。そんなレジェンドが今も左前頭8枚目にいるのはなかなか味わい深い。