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36歳・長谷部誠の止まらない成長。
豊富な経験、知性、誰より熱い心。
posted2020/03/04 07:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
団体スポーツにおいてチーム成績が下降線を辿っていれば、監督は現状を分析し、できているところとできていないところを明確に把握し、リズムを取り戻すために、あの手この手と適切な手段で刺激をもたらそうとする。
それがサッカーであればシステムを変更したり、戦い方そのものに変化を加えてみたりして、現時点での最適解を探し出す。そうした能力は、指導者にとって欠かせないものだ。
長谷部誠と鎌田大地が所属するフランクフルトは前半戦終盤、一気に失速してしまった。2019年10月まではまだ悪くなかった。11月2日にホームでバイエルンに5-1の大勝を収めた試合で、ほとんどの力を使い切ってしまったのだろうか。
その後、鎌田の2得点で勝利したELアーセナル戦を例外として、勝ち切れない試合が続いた。
バイエルン戦後、リーグ戦7試合で1分6敗。昨年末の第17節パーダーボルン戦で、ヒュッター監督は急遽それまで慣れ親しんでいた3バックシステムから4バックへの変更を決断した。しかし、さすがに準備も何もないなかでのチャレンジは残念ながらうまくいかず。最下位チーム相手に1-2の敗戦を喫したこともある。
4バック変更でチーム状況が改善。
あれから2カ月――。ヒュッター監督は失速の理由を詳細に原因究明し、冬の準備期間に戦い方の再整理に力を入れた。
「チームは冬合宿でしっかりとトレーニングをして、準備をしてきた」と強調するように、ブンデスリーガ後半戦最初の4試合で3勝1分、勝ち点10をあげ、再スタートダッシュに成功した。
すると、1970年以来となるリスタートでの快進撃の要因として、3バックから4バックへのシステム変更であることを認めた。
「その通りだと思う。様々な分析を行い、何をすべきか考えた。特に改善すべきだったのは失点の多さだ。前半戦の平均失点は2点近く、あまりにもバランスが悪かった。そこでシステムを変更して、1対1に強いアブラアムとヒンターエッガーの2人をCBのベースとすることにしたんだ」