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森崎浩司が語るうつ病と双子の絆。
「必ずまたなる」という発想の転換。 

text by

了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

PROFILE

photograph byShiro Miyake

posted2020/02/21 12:15

森崎浩司が語るうつ病と双子の絆。「必ずまたなる」という発想の転換。<Number Web> photograph by Shiro Miyake

今はクラブアンバサダーとして活動する森崎浩司。彼ら兄弟の存在は、スポーツ界にとってきわめて重要なものだ。

いま、苦しんでいる後輩たちのために。

――長い時間をかけてうつとの付き合い方を調整してきた経験は、現役の後輩たちにとっても貴重なものになりそうです。

「そうですね。去年、サンフレッチェではないクラブの選手なんですけど、オーバートレーニング症候群に陥ってると相談されて、会いにいきました。もし僕の経験が役に立つならと思って」

――状況がわかるだけに、動いたんですね。

「最初にしたのは、本人が話してみたいかどうかを間接的に確認することでした。気を使うことって疲れるので、本人の気持ちが一番大切だからと言ったんですけど、本人が会いたいと言ってくれて。

 表には出ていなくても、オーバートレーニング症候群やその一歩手前の選手はJリーグにも多いので、僕らの経験を話すことが役に立つなら協力はしますとクラブからJリーグには伝えてもらっています。まだ具体的に動いているわけではないけど、僕たちのケースを知ってもらうだけでも意味はあると思ってます」

サッカー少年のお母さんからの手紙。

――今後はそうした活動も考えているのですか?

「そうですね。あとは選手でなくても、苦しんでる人がいるはずですよね。今日、初蹴りに行った時にサッカー少年のお母さんからお手紙をもらったんです。息子さんは小学校時代はサッカーを楽しんでいたのに、中学に入ったら指導者との相性が悪くてサッカーをやめてしまった。学校にも行けなくなって、もうすぐ高校受験の時期で悩んでいる、と。

 本を読んで僕たちの症状が息子さんに似てることに気づいて、母親として考え方、接し方を変えようと思いましたと言ってくれて。そういう子を助けてあげたいんですよね。周りにいる方は、理解して、支えて、よりそってあげて欲しいと思ってます」

 うつ病に苦しんでいてもオープンにすることができず、苦しんでいる方も多いだろう。勝負の世界であるスポーツ界では、その傾向はなおさら強い。

 一見して病状がわかるわけでもなく、苦しんでいる人がいたとしても周囲は気づきづらい病気でもある。それでも少しでも理解を深め、そっと寄り添うことができたら。森崎兄弟の歩みは、その教科書になる。

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