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コロナウイルスで封鎖の武漢所属。
ラファエル・シルバに質問してみた。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/02/13 11:30
ラファエル・シルバは武漢でゴールゲッターとして存在感を放っている。彼の活躍は街に希望を与えるだろうか。
練習の合間に涙ぐんでいる選手も。
「去年12月1日にシーズンが終わり、ブラジルへ帰国してオフを過ごし、1月初めから広州で行なわれたプレシーズンの1次キャンプに参加した。この間、武漢は一度も訪れていない。
1月中旬、中国の旧正月(春節)の休みで練習が中断され、その後、セビージャで2次キャンプが行なわれることになっていたので、僕はチームに先立って、1月19日にセビージャへやって来た。その直後、新型コロナウイルスによる被害が急激に拡大し、武漢は封鎖されてしまった(1月23日)。
チームは1月29日にセビージャへ到着し、僕もチームに合流した。選手たちとクラブ関係者は、武漢に本拠を置くチームということで、道中、非常に冷淡な扱いを受けたと聞いた。みんな憔悴していた。翌日から、チーム練習が始まった。
僕たち選手やスタッフは毎日、健康診断を受けているが、これまでのところ感染者は出ていない。でも、選手の中には家族、親戚、知人、友人が武漢に住んでいる者が多い。幼い子供がいる選手もおり、みんな心配で、なかなか練習に集中できない。練習の合間には涙ぐんでいる選手がいるし、心身のコンディション不良で練習を休む選手もいる。
チームメイトが苦しむ様子を見ていると、僕もとてもつらい。
今年の中国リーグ(1部)は2月22日に開幕する予定だったが、無期延期されている。現時点で、開幕の目途は立っていない。当面、チームは2月18日までセビージャで練習することになっている。でも、リーグの開幕が延期されているし、その後の予定は何も決まっていない。
このままスペインに留まるのか、中国の武漢以外の町へ行くのか、僕たち外国人選手は母国へ一時帰国してもいいのかも含めて、何もわからない状態だ」
年末までの契約を全うする予定。
武漢との契約は今年末までというが、引き続き武漢でプレーするつもりなのか、あるいはクラブ側に退団を申し入れることを考えているのか――。それについてR・シルバはこのようにコメントしている。
「武漢は人口が1000万人を超える巨大都市で、僕が生まれ育ったサンパウロと少し似ている。これまで快適に過ごせていたし、クラブにも馴染んでおり、当面、今年の末までの契約を全うするつもりでいる」