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吉田麻也がセリエAに移籍した理由。
想像「してなかったねー」、でも……。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byZUMA Press/AFLO
posted2020/02/13 11:40
プレミアリーグのCBとして7年半という吉田麻也のキャリアは偉業である。だからこそ4大リーグ内での移籍が可能だったのだ。
サウサンプトンの居心地はよかったが。
「(トリノ戦を取材している日本人ジャーナリストの)みなさんもそうだろうし、イングランドのメディアも、サウサンプトンの選手やスタッフでさえも行くとは思ってなかったと思うんですけど、ここ数年自分自身が守りに入ってるのではないかっていう自問自答をずっとしてきたので。やっぱりチャレンジしなきゃいけないなっていう思いにかられましたね」
吉田は2012年ロンドン五輪での活躍をきっかけにサウサンプトン移籍を勝ち取り、プレミアリーグで7年半プレー、イギリスの永住権も手にした。
筆者が何度か現地取材した際に感じたのは、生活を含めてイングランドでのプレーに満足しており、引退後もここに残るのではないだろうかということだった。それくらい、吉田とサウサンプトンはしっくりきていた。
ベンチで世代交代を見届けるよりも。
だが31歳、日本代表主将は敢えて次のチャレンジを選択した。サンプドリアには元サウサンプトンの選手がチームメイトにいることも後押しとなった。
「ラニエリ監督が僕のこと、プレミアのことを知っていて(過去にチェルシー、レスター、フラムを指揮)、言葉がしゃべれるということもありました。
また、(マノロ)ガッビアディーニだったり、ガストン・ラミレスだったり知っている選手がいるというのも大きかったですね。もちろん行く前にマノロに電話したし。アドバイスとしては『(プレミアとセリエは)全然違うよ』ということでした。良いとも悪いとも言わなかったですけど」
そして、強いトーンで秘めた決意を口にした。
「あと4カ月間サウサンプトンのベンチに座って世代交代を見届けるよりも、自分のキャリアで自分が主役になってやりたいって気持ちが強かった。ただそれだけです」
だからこそ、自ら挑戦を選択したのである。