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高校生Bリーガーがエースになった日。
河村勇輝が見せた衝撃のデビュー。 

text by

青木美帆

青木美帆Miho Awokie

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photograph byB.LEAGUE

posted2020/01/31 20:00

高校生Bリーガーがエースになった日。河村勇輝が見せた衝撃のデビュー。<Number Web> photograph by B.LEAGUE

1月29日までの3試合で平均17.7得点、平均アシスト数2.3、フィールドゴール成功率50%、3Pシュート成功率41.2%と堂々たる数字を挙げている河村。

外国人選手たちが、「あいつは何者だ?」

 河村には、このチームでなすべき明確な使命と覚悟がある。

 三遠は10月の開幕以来、3つしか勝ち星を挙げられていない。

 24日の記者会見で、北郷謙二郎社長は「今回の件は、フェニックスを愛する人たちが『この成績をなんとかしなければ』と考えてくれたから実現したもの」と説明。苦しいシーズンを過ごす中で、三遠は“救世主”として河村を求め、彼もそれに応えようとしている。

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 約3カ月間という短い帯同期間で、高校生の自分がどこまでチームに踏み込んでいいのか……。加入が決まった当初、河村はもちろん悩んだというが、腹を決めた。

 初日から「自分のプレーを認めてもらう」という意図を持って、全力で持ち味を発揮。外国人選手たちが、「あいつは何者だ?」と度肝を抜かれるほどのプレーを見せた。

プレーブックを一晩で覚えた。

 河村は言葉を慎重に選びながら、胸の内を明かした。

「入る前は『遠慮しなきゃ』みたいなことを思っていたんですけど、チームは勝てていない状況なので……。チームが変わるきっかけとなれるように、自分がもっともっと攻めて守ることを大切にしたいと思うようになりました」

 実は河村は、ウインターカップ中に負ったケガを癒すため、大会終了後からの約3週間、ほとんど体を動かしていない。

 本格始動は、三遠に合流する約10日前から。体は重くなり、シュートタッチも「わけがわからない」と表現するくらいに乱れた。

 しかし、プロという舞台で「下手な試合やプレーはできない」と必死に調整し、試合の数日前に手渡されたプレーブック(戦術がまとめられた資料)を一晩で覚え、デビューシリーズで素晴らしいパフォーマンスを見せた。

 これだけのことを、なんてことのないようにやってのける高校生。それが河村勇輝なのだ。

【次ページ】 「チームを10勝させます」と堂々と宣言。

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