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高校生Bリーガーがエースになった日。
河村勇輝が見せた衝撃のデビュー。
posted2020/01/31 20:00
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
B.LEAGUE
「自信がなかったら挑戦はしなかったと思います。ただそれは、B1で通用するということではありません。どんな壁にぶつかっても挑戦し続ける自信があります」
1月24日、三遠ネオフェニックスは、福岡第一高校3年の河村勇輝との契約記者会見を行った。
約50人の報道陣が見つめる中、記者が「自信のほどは?」と尋ねた。3日前に髪を切ったばかりの18歳は、ほんの一瞬考えをめぐらせた後に、冒頭のように答えた。しっかりと前を見つめ、何ならその表情にはかすかな笑みすら浮かんでいた。
東海大でバスケットボール部に入部する。
福岡第一高校をウインターカップ2連覇に導いた高校ナンバー1ガードが、B1のクラブと契約――。文字だけを見れば非常にセンセーショナルなリリースだが、実は当初は、さほど大事とは認識していなかった。
河村と三遠が結んだのはプロ契約ではなく、アマチュアの特別指定選手契約。チームの帯同期間は3月初旬までの予定で、4月から進学する東海大でバスケットボール部に入部することも決まっている。
過去にも高校バスケ引退後に同契約を利用した選手がいたが、そのほとんどが、大学進学までの数カ月を有意義に使うための「職業体験」のようにとらえていた印象がある。
ましてや、河村が挑むのは国内最高峰のB1。いくら高校のスター選手といえども、プレー時間はさほどないだろうと高をくくっていた。
しかし、その見立ては衝撃的なほどに覆された。
記者会見翌日、25日の千葉戦で、河村は初めてロスター入り。第1クォーター早々にスタートガードの鈴木達也が負傷退場した三遠は、鈴木、寺園脩斗に次ぐ3番手のポイントガードとして、開始約6分で河村を投入した。