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高校生Bリーガーがエースになった日。
河村勇輝が見せた衝撃のデビュー。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byB.LEAGUE
posted2020/01/31 20:00
1月29日までの3試合で平均17.7得点、平均アシスト数2.3、フィールドゴール成功率50%、3Pシュート成功率41.2%と堂々たる数字を挙げている河村。
「チームを10勝させます」と堂々と宣言。
「この2試合を経験し、改めてこのチームで成し遂げたいことは何ですか?」
そう尋ねると、河村は少し考えた後、「やっぱ勝ちたい、ですね」と回答した。
河村はどれだけ多くの人間に囲まれていようとも、いつも明確に、自信をもって自らの言葉を発する。3日前の記者会見でも「チームを10勝させます」と堂々と宣言した。
しかしこの言葉には珍しく、若干の逡巡が感じ取れたような気がした。
29日の新潟戦では、先発起用でチーム最多の24得点。20点近いビハインドを、彼の連続3ポイントシュートで3点差にまで縮めたが、それでもチームを勝たせられなかった。
高校1年時のウインターカップ準決勝で福岡大大濠高校に敗れて以来、河村は久しぶりに壁にぶち当たっているが、冒頭で紹介したコメントのとおり、戦い抜く覚悟は持っている。
この時期の高校3年生の定番行事である、運転免許を取る暇はない。もしかしたら卒業式にも出ないかもしれない。
「卒業式とかそんなことより、1戦でも多く勝利に貢献したいんです」
ごく当たり前にそう言ってのける18歳は、どのような試行錯誤を経て、苦境のチームを勝利に導くのか。日本中のバスケットファンが、その様子を見つめている。