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ナダルとの因縁、森林火災に寄付、
コービー愛。憎めぬ反逆児キリオス。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAFLO
posted2020/01/29 20:00
コービー・ブライアントのレイカーズ時代のユニフォームで登場したキリオス。こんなことができる男が単なる問題児であるわけがない。
森林火災の寄付をいち早く申し出。
また、オーストラリアは昨年末からの森林火災で深刻な被害を被り、テニス界でもさまざまなかたちで寄付活動が広がっているが、個人的な寄付をいち早く申し出たのはキリオスだった。
今大会でも、年初に行なわれた国別対抗戦『ATPカップ』でも、全選手が放ったサービスエース1本に対して100豪ドル(約7500円)が寄付されたが、それとは別にキリオスはエース1本200豪ドル(約1万5000円)の寄付を約束。これまでシングルスだけでも169本のエースを記録し、寄付額は3万3800豪ドル(約250万円)に上っている。2017年にプエルトリコを襲ったハリケーンの際も最初にエース基金を始めた。
「僕の中の悪いヤツが何度も」
その一方で、実は今も執行猶予中の身。
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昨年9月、度重なる違反行為の末に科された処分に、6カ月間の執行猶予がついた。この間に罰金対象となるような違反行為をすれば、16週間の出場停止となり、2万5000ドルの罰金を払わなくてはならない。年が明けてからラケットは何本も壊しているが、今のところ警告止まりで辛抱している。
ナダルのコメントにこう反応した。
「うれしいけど、そんなことは僕だってわかってるんだ。この4年くらいずっとね。ただ、僕の中の悪いヤツが何度でも同じ態度を繰り返すんだ。でも1日1日、少しずつでも成長できるようにがんばろうと思うよ」
こんなキリオスが持続するなら、自己最高位が13位で終わるはずがないし、ましてや今26位などであるはずがない。ピュアな心を持った反逆児はどう変わるのか、テニス界をどう変えるのか――多くの温かい目と関心が注がれている。