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三好康児、ベルギーでの競争と五輪。
「のんびりしている時間なんてない」
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byBelga Image/AFLO
posted2020/01/23 19:00
9月26日のカップ戦では2ゴールを挙げる活躍を見せた三好康児。今年はクラブでの競争そして東京五輪と、勝負の1年となる。
「日本人としてプライドを示したい」
アントワープには日本人どころかアジア人すらいない。その分、三好に対する周りの目は厳しい。新たに入ったアジア人は、チームの勝利に貢献してくれるのか。「日本でやっているときより個人の注目度が高い」からこそ、いいプレーと悪いプレーがより目立ち、サポーターからの信頼感、不信感につながる。
だが、三好は笑って答えた。「わかりやすいぶん、そこのやりがいは常にありますよ」と。
「ファンの人はブーイングから始まるけど、逆に結果を出せば評価してくれて、喜びの方の反応も大きい。負けたらブーイングだし、勝ったらめちゃくちゃ騒ぐ。そういう環境に身を置いて日本人を認めさせたいという思いが出てきた。日本人としてのプライドを示したいなって。『日本人はいいぞ、三好康児はいいぞ』と思わせたいと思って毎日やっています」
三好は第22節終了時点でリーグ戦9試合に出場、1ゴール。そのうちスタメンは2度。9月のカップ戦では2ゴールを記録した。ここ2カ月はケガの影響でピッチに立ててないが、チームは現在リーグ暫定3位と好調を維持。終盤戦に向けて出番を増やしていきたいところだ。
またアントワープは今季、ヨーロッパリーグの予備予選で敗退することになったが、このままリーグの優勝争いを絡んでいければ、来季はヨーロッパリーグもさることながら、自ずと欧州最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグ(CL)にも出場できるチャンスがある。
来季もチームの残った上で、CLのような大きな舞台で結果を残すことができれば、誰もが想像のつかないようなステップアップを果たす可能性も秘めている。
見本となる南野のステップアップ。
その見本となるのが、今冬にザルツブルクからリバプールへと移籍した南野拓実である。
日本代表の先輩にあたる南野は、CLの舞台で結果を残し、ビッグクラブへと引き抜かれた。三好自身、欧州でその状況を目にしていたからこそ、確かな刺激を受けている。
「(南野の)CLの試合を見ていましたけど、活躍すれば本当に近いところに夢があるんだなと。それはこっちに来てより感じたこと。だからこそ、毎試合が本当に大事。自分が夢見ていたところをより近くに感じているので、本当にのんびりしている時間なんてないですよ。常に危機感を持ちながら、希望を持ちながら、やれる環境なのかなと思います」
もちろん全てをポジティブに考えられているわけではない。1人でサッカーのことを考える時間が増えたからこそ、逆に不安になるときもある。
「日本の人からしたら、試合に出なかったら『あいつ何してんだ』となる環境。本当に試合に出ることがすごく大事だなと思うし、常に危機感は感じている」