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世界選手権金2個。東京五輪も超有望。
日本バドミントンが強くなった理由。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byTadashi Shirasawa
posted2020/01/05 11:30
2004年に日本代表のヘッドコーチに就任した、現在55歳の朴氏。彼の存在なくして、今の隆盛を見ることはなかった。
「実業団とはいつもファイティングしていた」
また、現在ではワールドツアー前には必ず代表選手が集まって合宿するのが日常的なこととなっているが、以前は一部大会を除けば、選手強化は実業団単位で行われることが当然だった。
改革に着手した当初は、選手の所属チームからクレームが入ることもあった。
「理解してもらうのが大変だった。実業団とはいつもファイティングしていた」と朴は言うが、国際大会前には必ず強化合宿を敢行。合宿の回数も日数も大幅に増やし、種目別の専門コーチのもと選手たちには早朝からスタートするハードな練習を課した。
さらに2008年にナショナルトレーニングセンター(東京・赤羽)が完成すると、10コートある体育館がいつでも使うことが可能となり、より合宿は充実した。
常駐のトレーナーによるケアや最適な食事を摂取できることも、ハイパフォーマンスにつながっている。
地道な強化が徐々に実を結び始める。
朴がヘッドコーチ就任後、最初の頃は1回戦敗退が続き、ベスト16入りするのも1年ぐらいの時間を要した。しかし、地道な強化が徐々に実を結び始める。
目に見える結果が出始めたのは、2008年の北京五輪だった。メダル獲得とはならなかったが、女子ダブルスで末綱聡子&前田美順がベスト4入りを果たす。
さらに、4年後の2012年ロンドン五輪では、同じく女子ダブルスで藤井瑞希&垣岩令佳が日本バドミントン界初の銀メダルを獲得。
記憶に新しい2016年のリオデジャネイロ五輪では、高橋礼華&松友美佐紀が金メダルまで上り詰め、女子シングルスでは奥原希望も銅メダルに輝いた。リオ五輪以降もその快進撃は止まらない。