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世界選手権金2個。東京五輪も超有望。
日本バドミントンが強くなった理由。
posted2020/01/05 11:30
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Tadashi Shirasawa
2019年世界選手権では男子シングルスで桃田賢斗が、女子ダブルスで永原和可那&松本麻佑が金メダルに輝いたのをはじめ、銀、銅を含め、合計6のメダルを獲得した。
ここ十数年で大きく飛躍し、国際大会で好成績が続く日本バドミントン界は、2020年の東京五輪でもメダルラッシュの期待が膨らんでいる。
強化のきっかけとなったのは、2004年アテネ五輪での惨敗だった。
日本代表はシングルス5選手、ダブルス4ペアを送り込んだが、同大会の結果は女子シングルスの森かおりが挙げた1勝のみに留まった。
「勝敗へのこだわりが薄い」と感じていた。
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そこからチームを躍進に導いたのが、現在も日本代表の指揮を執る韓国人指導者の朴柱奉(パク・ジュボン)ヘッドコーチだった。
朴は1992年バルセロナ五輪の男子ダブルスで金メダル、1996年アトランタ五輪の混合ダブルスで銀メダルを獲得するなど輝かしい実績を残している。
本国では「ダブルスの神様」と呼ばれ、一時代を築いた。
現役引退後は韓国やイギリス、マレーシアの代表チームコーチを務め、2004年11月に日本代表ヘッドコーチに就任。あらゆる面での変革に乗り出した。
当時、日本の選手たちは世界ランキングは高いのに、大きな大会では簡単に敗れており、主要大会ではなかなか勝利することができなかった。レベルの低い大会で勝ってポイントを稼いでいたため、ランキングに見合った実力が備わっていなかった。
とはいえ、「日本の選手の技術が足りないわけでもなく、パワーが不足しているわけでもない」と朴は分析。世界のトップで戦う実力が養うため、あらゆる策を講じた。
高いレベルの選手たちと打ち合ってこそ競技力が磨かれると考えていた朴ヘッドコーチは、世界上位と対戦する機会を増やした。「絶対に勝つという気持ちが足りない。勝敗へのこだわりが薄い」と感じていた朴は、日本選手に不足していると感じていた勝利への貪欲さを植え付けようとした。