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J3から這い上がったガンバ福田湧矢。
東福岡の先輩・宮原裕司の金言とは。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byAFLO
posted2019/12/27 11:40
J3での修行を経て2019年のJ1リーグ戦で17試合出場。今年の福田湧矢がガンバで得た経験値は非常に大きかった。
札幌戦では菅との対決で完勝。
大阪ダービーでは、ウイングバックを務め抜群のスタミナと走力で左サイドを支配した。「メンタル面が調子の良し悪しに出るところと、得点やアシストとか結果に絡めていないところが課題」(福田)ということもあって、必ずしも常時レギュラーの座を確保していたわけではなかったが、今シーズンはJ1で17試合に出場した。
コンサドーレ札幌に5-0で圧勝した10月4日のJ1リーグでは、U-22日本代表に招集されている菅大輝とマッチアップし、序盤こそ押し込まれたものの試合を通じては完勝し、その成長の跡を見せつけている。
芝生の上を転がるルーズボールにも、時に頭から突っ込む気合と年上の相手選手にも物怖じしないメンタルの強さも福田の持ち味。そんな強気な若武者が「本気で向かい合ってくれたサッカー人生で初めての指導者」と心酔する森下監督の指導で球際の激しさと走力を身につけたことが、今季の成長を支えている。
宮原コーチ「そんな選手じゃ……」
もちろん、気持ちだけでは世代別とはいえどもジャパンブルーに手は届かない。
サイドでボールを受ければ、ロストを恐れずドリブルで仕掛けるスタイルを取り戻すきっかけになったのは東福岡の先輩でもあるコーチの存在だ。
今年からガンバ大阪U-23で指導する宮原裕司コーチは、東福岡高校で高校三冠を勝ち取ったファンタジスタである。
福田のプレーを中学生の頃から知っているという宮原コーチは、今年1月、こんな言葉をかけたという。
「変わったな、お前のスタイルは。そんな選手じゃなかっただろ」
デビュー当時の指揮官、レヴィー ・クルピ氏にボランチとして抜擢されたことで、逆に自らがプロで歩むべき道を迷っていた福田だったが、宮原コーチの言葉が原点回帰のきっかけになったのだ。