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バレー福澤達哉、二度目の海外挑戦。
自身の野望と覚悟を「言葉にする力」。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2019/12/24 11:00
2015年のブラジルに続き、自身ニ度目の海外生活。妻は「今しかできないことだから」と送り出してくれたという。
心地よい刺激も、痛い刺激も。
2024年の五輪開催地であるパリ。その組織委員会と同じ敷地内に、パリ・バレーが本拠地とするアリーナもある。
12月14日。6位のパリ・バレーと7位のトゥールーズとのホームゲーム。福澤はスタメンでフル出場。
3年前、パナソニックの昇進試験でTOEICの社内規定をクリアすべく「バレーとは違う久しぶりの緊張感を味わった」というほど猛勉強した成果を生かした流暢な英語で周囲とコミュニケーションを取り、パリ・バレーでもサーブレシーブの中心を担う。
もちろん見せ場はそれだけにとどまらず、試合終盤にはライトからインナーに手首を巻き、うまくボールをコントロールして軟打を落とす。技ありのプレーで得点すると、満面の笑みを浮かべ、両手を掲げた。
「最終的に、やってきた道は間違いじゃなかったと思いたい。その一心、それだけです。そんなこと、きっとほんの一握りしか感じられないけれど、それだけを求めて世のアスリートは戦っている。そのためにいろんな犠牲を払い、日々、いろいろ自問自答しながらも、結果で証明するしかない。
厳しい世界のようだけれど、やっていることが目に見えて結果につながる幸せな場所にいられる期間はそう長くないですから。そこで感じられる刺激がすべてで、その刺激がワールドカップのように心地いいものもあれば、身体中が痛いような刺激もある。でも、それがアスリートやな、って思うんです」
年齢を重ね、背負うものが変わっても、逃げずに向き合ってきた。振り返れば決して、いい時ばかりではなくとも、ブレずに、真っ直ぐ。時には消えそうな光を見据えながら。
劣勢からのフルセット勝ち。「疲れた」の言葉も心地よく聞こえるほど、充実感に溢れた笑顔以上の言葉はない。どれほど華やかにもてはやされた時よりも、紛れもなく、福澤のベストシーズンは今。
信じる道をひたすら進む。だからこそ今日、そして、明日が楽しみだ。