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ロナウジーニョは裕福、マルタは?
ブラジル2大名手の少年少女時代。 

text by

沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2019/12/22 19:00

ロナウジーニョは裕福、マルタは?ブラジル2大名手の少年少女時代。<Number Web> photograph by Getty Images

ブラジルが誇る男女サッカーの2大スター、ロナウジーニョ(左)とマルタ。ただ2人の経歴は大きく違う。

大男を翻弄するマルタのドリブル。

 一方、マルタは青チームの背番号10で、最前線でプレー。身長162cm、体重57kgは女子選手としては標準サイズだが、男子選手の中に入ると非常に小柄で華奢に見える。しかし、テクニックでは全く負けていない。巧みなドリブルで大男たちを翻弄し、積極的にシュートを放って歓声を浴びた。

 ピッチレベルでの取材を許され、世界フットボール史に燦然と輝く2人のスーパースターのプレーを間近で見る贅沢を噛みしめながら、彼らの対照的とも思えるキャリアに思いを馳せた。

兄アシスの存在が大きかった。

 ロナウジーニョは、ブラジル南部の名門グレミオの下部組織で育った。父親は溶接工で一家は決して豊かではなかったが、7歳のとき、9歳年上の兄アシスがグレミオのトップチームからデビューすると一気に裕福になった。

 8歳のときに父親が事故死して以降は、アシスが父親代わりにして一家の大黒柱。アシスのおかげでロナウジーニョは経済的な困難とは無縁で、名門クラブの若手スターが兄であることはキャリアの上で大きな助けとなった。

 18歳でグレミオからデビューし、19歳でセレソンに初招集されてコパ・アメリカ(南米選手権)で優勝。2002年ワールドカップ(W杯)を制覇し、クラブではパリ・サンジェルマンを経てバルセロナで世界のトップスターとなり、2004年と2005年の世界年間最優秀選手に選ばれた。

 2015年、35歳で現役を引退したが、その後も世界各国で開催されるイベントや記念試合などにひっきりなしにお呼びがかかり、「フットボール伝道師」として世界を股にかける。

 巨大産業となった世界のフットボールの「顔」のひとりであり、現役時代のみならず引退後も莫大な報酬を手にし、それをかなりの勢いで浪費し続けているのもご愛嬌か。

【次ページ】 母親に隠れてボールを蹴った理由。

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