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サニブラウンが100mに出場できない?
日本陸連「リレー優先案」の波紋。
posted2019/12/22 09:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kyodo News
日本陸上連盟の提案が波紋を呼んでいる。
12月16日に行なわれた理事会での、2020年の東京五輪陸上100、200mの代表選考基準に関するものだ。
そこで出されたのは、選手は100、200mどちらかのみの出場とし、両種目ともの出場を制限する内容だった。
100、200mで五輪金メダルを獲得するなどしたウサイン・ボルトを例にとるまでもなく、100、200mの両方に取り組む選手は当たり前にいる。また、オリンピックや世界選手権で両種目に出場した日本の選手も珍しくはない。
なのに、まだ提案段階とはいえ、こうした方針を打ち出した背景は、リレーの兼ね合いがある。
金メダル獲得は絵空事ではない。
リオデジャネイロ五輪4×100mリレーでは最後の直線に入るところまで先頭争いを演じ、銀メダルを獲得したように、東京五輪でも好成績が期待されている。目標とする金メダルが絵空事とは言えないレベルまで強くなった。
2017年9月、桐生祥秀が日本初の9秒台となる9秒98をマーク。するとサニブラウン・アブデルハキームが9秒97で2人目の9秒台突入者となった上に日本記録を塗り替え、さらに小池祐貴も9秒98と10秒の壁を破った。
個の力が上がることで、リレーでも十分、世界の強豪の一角を占めるに至ったのである。
ただ、東京五輪の競技日程は以下のようになっている。
○100mの予選・準決勝・決勝 8月1、2日
○200mの予選・準決勝・決勝 8月4、5日
○4×100mリレーの予選・決勝 8月6、7日
今秋の世界選手権は200mの決勝から4×100mリレーの予選まで中2日あったことに比べると、東京五輪は中0日とよりタイトなスケジュールになっている。