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メッシ&スアレスも久保建英も凄いが、
バルサで渋く光った「右の仕事人」。
posted2019/12/09 20:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Getty Images
いやはや、バルセロナvs.マジョルカを見ていて、相変わらず凄い能力だなと気づかされた。
バルサの「右」を託された、インサイドハーフのラキティッチとサイドバックのセルジ・ロベルトの“気の利きぶり”が。
メッシの通常運転のハットトリックに、スアレスのオシャレなヒールシュート、そして初のカンプノウでブーイングを浴びながらも、2得点の起点となった久保建英の奮闘ぶりに触れるべきじゃないか。そうは思うのだが、「4番と20番」の素晴らしい仕事人っぷりにどうしても目がいったのだ。
ハイライトシーンの「前」を見てほしい。
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彼らはメッシやスアレスが輝く「前」か「前の前」、もしくは久保に「決定的な仕事をされる直前」 でことごとくひと仕事し、バルサの5-2圧勝に渋く貢献していた。
そのいい仕事ぶり、何個でもプレーを挙げたくなるが、なるべく抑えて列記する。
6分、右サイドの久保が鋭角にクロスを送る。ファーサイドの味方が触れば1点、という場面、足先でクリアしたのはセルジ・ロベルト。バルサの先制点が決まった後の8分、右サイドに流れた久保が突破しかけたものの、対面したセルジ・ロベルトはイエローカードを辞さず潰した。
セルジ・ロベルトがピンチの芽を摘み取る間にバルサはグリーズマンとメッシがそれぞれゴールを決めたわけだが、どちらかで久保の仕事を許していれば――バルサはもう少し苦しんだのではないか。
マジョルカが1点を返して雰囲気が変わるかと思いきや、続いては「4番」が光る。マジョルカの横パスを読み切って、ラキティッチがインターセプト。そこから始まったカウンターはメッシが奪ったこの日2点目も、ラキティッチの正確な縦パスでフィニッシュに導いた。
そして43分、スアレスの曲芸みたいな一撃の“黒子役”にもなっている。アシストしたのはデヨングだったが、リズミカルなパスのスタート地点になったのはセルジ・ロベルトとラキティッチ。デヨングに優しいパスを送ったのもセルジ・ロベルトだった。