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メッシ&スアレスも久保建英も凄いが、
バルサで渋く光った「右の仕事人」。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2019/12/09 20:00
マジョルカ戦で自らのバロンドール受賞を祝うハットトリックをマークしたメッシ。だが、“王様”の活躍を支える2人の黒子にも賞賛を送りたい。
「王将」を支える「銀将」。
ただ今シーズン前半戦、ラキティッチとバルサは決して良好な関係ではなかった。アルトゥールやビダルに加えてデヨングが加わったことで、スタメン出場が減少。「チャンスが与えられないなら……」と移籍も辞さない考えを示していた。シーズン開幕前からマンチェスター・ユナイテッドやユベントスが興味を示し、古巣セビージャも熱視線を送るなど、1月の移籍市場で“注目銘柄”となる可能性が高い。
マジョルカ戦を見る限り、ラキティッチはいまだバルサに不可欠だと認知させたはずである。実際『マルカ』紙もバルサの選手採点で「ホントに1月、ラキティッチを売っちゃうの?」なんて見出しをつけたほどだし、何より本人が試合後のインタビューで「タイトルを勝ち取るにはこれ以上ない。僕にとって完璧な場所だ」と忠誠心を示しているのだから。カンプノウの観衆の拍手は「残ってくれ」の意味も込められているはずである。
ラキティッチとセルジ・ロベルトは、将棋で言うと「銀将」のように攻守ともに利く存在で、彼らがいるから「王将」のメッシも安心してプレーできるのだ。
18日に控える宿敵レアル・マドリーとのクラシコ、そして年が明けてのCLでも2人の右でのいい仕事ぶりを堪能したいものである。