リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
ルイス・エンリケ監督復帰の闇。
果たして誰が嘘をついているのか。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto Press
posted2019/12/06 11:30
ローマ、バルサ、そして代表でルイス・エンリケ監督が残した実績は確かだが、どうも今回のプロセスには違和感が残る。
突然の再契約、モレノは大勝も涙。
その2試合(ルーマニア戦とフェロー諸島戦)に連勝したスペインは10月中旬の敵地での2連戦(ノルウェー戦とスウェーデン戦)で引き分け、本選出場を決めた。
ところが11月15日の第9節マルタ戦を勝利で終えたところで、ルビアレス会長が自ら記者の前に立ち、監督交替の可能性を匂わせる。3日後、最終節のルーマニア戦に5-0で快勝した後、モレノは目に涙を溜めて選手やスタッフが揃うロッカールームへ消えた。
翌日ルビアレス会長は協会本部で記者会見を開き、ルイス・エンリケとの再契約を発表。期間は'22年W杯が終わるまでの3年間だ。
釈然としない会長の説明。
当面の目標であったユーロ予選をグループ首位で突破したにも拘わらず、監督を直ちに更迭――。どうにも釈然としない。くだんの記者会見でのルビアレス会長の説明はこうである。
「モレノを監督に指名した際、『ルイス・エンリケは復帰したくなったときに復帰する』と彼に明確に伝えている。我々は常に厳正に、透明性をもってやっている」
「ルイス・エンリケと話をしたのはお悔やみを伝えた8月29日と10月末と昨日(11月18日)の3回だけ。モレノから復帰したがっているようだと聞いて直接話さねばならないと思い、10月31日サラゴサで会ったところ『戻りたい』と言われた。モリーナには『予選が終わって落ち着いてから皆と話そう』と提案された」
「11月17日(ルーマニア戦前日)モレノが自分の今後について知りたがったので、予選終了まで待てとモリーナが伝えた。が、18日に『ルイス・エンリケ復帰の障害にならないよう退任について話し合いたい』というメールが送られてきた。復帰の可能性を知らされ自ら辞めたくなったようだとモリーナがいうので、すぐルイス・エンリケに電話し復帰を確約してもらった」