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シブコは最後までよく笑っていた。
激動のプロ1年目、来季の課題は?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byYoshihiro Koike
posted2019/12/03 20:00
賞金女王に輝いた鈴木愛を祝福する渋野日向子。最後の会見までシブコ節が炸裂していた。
ショートゲームと、心と体のバランス。
この日のプレーには渋野の課題も如実に表れていた。アゴにぶつけた9番のバンカーショットだけでなく、ボギーとした15番のグリーン奥からの寄せなど、要所でアプローチに泣いた。
青木翔コーチは「課題はショートゲーム。それは明確。攻めていくと反動もあるので、いかにパーを拾っていけるか。そこも春先に比べたらだいぶ向上している。焦らずにうまくなってくれればいい」と語った。課題の改善というよりも手付かずの領域の習得はまだこれからになる。
第3ラウンドの後半にはドライバーが、そしてこの日の前半もピンを狙うアイアンショットが左にぶれてチャンスを作れなかった。最終日の朝の練習場、渋野を視察に訪れた男子プロの深堀圭一郎は「すごくハンドダウンの構えだから、上体に力が入るとかかと体重になる。そうすると左にいくミスが出やすくなるだろうね」とそのスイングを読み解いていた。
優勝争い、タイトルのかかった状況で心と体のバランスをいかに保つか。来季はそこも一層大事になってくるはずだ。
すべてを吹っ飛ばすパワーと笑顔。
充実のシーズン、最終戦、最終日、最終ホール、そして記者会見。オフの予定も聞かれた渋野は次から次にこう答えた。
「とりあえず12月中にポケモンを全クリしたいなと思う」
「あと、なんだろなあ……。今日あまおうデビューしたんです。12月でめっちゃ食べたい。んふふはは」
「年末年始はクリスマスに親知らずを抜きます。24日に。クリスマスイブに。悲しいですねー! んなはははは!」
「車乗ったらストレス解消になるけど、なかなか最近乗れていないので家の周りをウロチョロしようかな」
「いま、すっごいおなか空いてるんですけど。いま、めっちゃラーメン食べたいです。濃いぃラーメンが食べたいです。あはははは」
真面目な話もいっぱいしたはずなのに、スーパースターの憂鬱や苦悩なんてすべて吹っ飛ばすようなパワー、そして笑顔。