リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
メッシとの連係がまだイマイチな、
グリーズマンとバルサに送る処方箋。
posted2019/11/22 11:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto Press
2019-20シーズンの3分の1が終わった。
この夏にクラブを変えた選手は新チームへの順応を完了して、そろそろ本領を発揮している必要がある。
しかし、グリーズマンはいまだ燻っている。
「(順応は)少しずつ進めていかなきゃ。アトレティコに移ったとき自分に起きたことがいまバルサでも起きている。新しい戦術を一瞬で飲み込むことなんてできない」
これは、バルサでの状況について問われた際の本人の返答である。
今季のリーガ13試合でグリーズマンは895分間プレーし、4得点3アシストを記録している。A・マドリー初年の第13節までは732分間で3得点1アシスト、レアル・ソシエダ初年は868分間で3得点2アシストだから、数字に限っていえば、バルセロナでの初速はそれほど悪くはない。
メッシとの連係が確立されてない?
だが、いま問題視されているのはもう少し根本的なこと。彼がバルサの攻撃スタイルにはまっていないという点だ。特に強く指摘されているのはメッシとの連係の拙さである。「メッシに信頼されていない」と見る向きさえあるようだ。
開幕以降、CLを含めると2人はこれまで10試合626分間、一緒のピッチに立ってきた。その10試合でグリーズマンからメッシへ渡ったパスは25本。反対にメッシからグリーズマンへ渡ったパスも25本。
よって、信頼云々は勝手な思い込みと言えるだろうが、2人の絡みが極めて少ないのは確かだ。メッシが望む動きやポジショニングを、グリーズマンはまだ把握できていないのだろう。
他方、チームの攻撃に一刻も早く溶け込みたいグリーズマンにとって――結局のところチームにとっても――不都合なのは、今季のバルサがショートパスを受け手の足下に出し続けるスタイルに傾いていることだ。