クリスマスには選手を里帰りさせる。

　バスケットボールと学業の両立、言葉の壁といったことで、今野はしばらくの間苦労するかもしれない。また、慣れない生活環境からホームシックに直面することも十分考えられる。

　しかし、ウォルツコーチはそういったことを想定済みで、「クリスマスの時期に一時帰国の機会を設けるつもりだ。家族との約束なんだ。我々はクリスマスの休日を5〜6日間設けるのが普通だけど、紀花が1週間以上里帰りしたいのであれば、両親にはクリスマス前の試合を欠場してもいいと伝えている」と話す。

　このような措置を取り入れている理由は、過去の留学生選手がすごくリフレッシュした状態で里帰りから戻ってきたことを見て学んだ経験から。ホームシックになる前の対策として、里帰りは必要な手段という考えを持つ。

U19のワールドカップで見いだされた長所。

　今野が留学生活よりもバスケットボールで一足早く順応し、コート上で持ち味を発揮してチームに貢献することを、ウォルツコーチは楽しみにしている。

「彼女と一緒にやる機会があることにとてもエキサイトしている。最初の映像を見て、彼女のプレーを気に入った。それからFIBAU18女子アジア選手権もパソコンでチェックしたけど、私が見たものは間違っていないと確認できた。

（その後のU19女子ワールドカップ前に）日本と2度スクリメージ（練習試合）を行ったことで実際のプレーも見ることができたけど、とてもいい選手になれるチャンスがあると思っている。彼女ができる多くのことはアメリカのスタイルにもフィットする。ボールスクリーンからのプレー、緩急のつけ方、ジャンプショットなどだ」

　この夏にタイで行われたU19女子ワールドカップでアメリカ代表の指揮官を務めながら、ウォルツコーチは日本代表に選ばれた今野のプレーを見る機会に恵まれた。

　平均8.3点、フィールドゴール成功率43.1％と、数字は今野にとって不本意だったかもしれない。しかし、ウォルツコーチは他の長所を見つけていた。

「パスについてはとてもいい印象を持っている。このトーナメント（U19女子ワールドカップ）でプレーしているどのガードよりもいいと思う。チームメイトのシュートチャンスを作り出す能力は、ガードが本能として持っていなければならないモノだけど、彼女にはそれがある」

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