バスケットボールPRESSBACK NUMBER
ルイビル大・今野紀花がNCAAの舞台へ。
名将が語るデビューまでの道のり。
posted2019/11/13 17:00
text by
青木崇Takashi Aoki
photograph by
Jeff Reinking/Louisville Athletics
今から1年前の昨年10月、聖和学園の3年生だった今野紀花は、2009年と2013年NCAAトーナメント準優勝の実績を持つルイビル大への進学を決断した。
ルイビル大を指揮するジェフ・ウォルツコーチは彼女のハイライト映像を見た瞬間にそのプレーを気に入り、多忙なスケジュールの中で来日して本人と両親に会うなど、熱心なリクルーティングを行い、それが実を結んだ。
ウォルツは2006年にメリーランド大のアシスタントコーチとしてNCAAトーナメント優勝を経験すると、2007年からルイビル大のヘッドコーチに就任。
NCAAトーナメントに出ても1回戦敗退というレベルだったチームを、3度ファイナルフォーに導くなど全米トップレベルの強豪へと成長させた実績を持つ。
NCAAで成功を手にするには、有能な選手をリクルートできることが大前提。もちろん、ウォルツコーチにはそれをできるだけの魅力的な人間性がある。
実際に会って話をしてきた筆者の印象は、非常にポジティブでエナジー満載の熱血漢。コミュニケーション能力が非常に高く、今野と会った際には通訳なしの1対1で話すことで、距離感を縮めながら信頼を得ようとしていた。
今野の親に会うために強行で来日。
多忙な日々の合間を縫って(滞在期間は1泊2日という強行軍だったという)来日して今野に会った理由について質問すると、ウォルツコーチから次のような答えが返ってきた。
「私には4人の子どもがいる。紀花の両親に会いたかったというのは、2時間電車に乗れば家に帰れる、週末になれば家に帰れるということではなく、遠いアメリカに来るという約束をすることになるからだ。また、私が彼女の面倒を見ることに対する信頼を持ってもらう意味もあった」
入学を約束する書類にサインする前、今野は両親と一緒にルイビル大を訪問し、キャンパス、練習施設、試合会場となるアリーナを見学。アットホームな環境であることを両親に知ってもらうために、ウォルツコーチは自身の家族と過ごす時間を作っていた。
「(NCAAが認める)公式訪問で両親が彼女と一緒にルイビルにやってきた際、私の妻と子ども2人に会う機会を設けた。紀花がどんな環境で生活するのか、実家からは遠く離れているけど自宅のような感じになれるということで、両親も安心したと思う」