ブラジルの解説者が停滞を指摘。

　2トップが厳重にマークされていたとはいえ、日本は攻撃でこれまでのような力を出せなかった。2点リードされてからようやく西川、若月らが惜しいシュートを放ったが、全体的な精度はいまひとつだった。この試合を中継したブラジルのテレビでは、解説者が「メキシコが日本の良さをうまく消して勝ち切った」、「日本は、いつになくパス、シュートの精度が低かった」と論評した。

　実は、この試合が始まる直前、南米特有のスコールが降った。豪雨、雷鳴、そして強風。ブラジルでは年に数度あるが、日本では台風以外に経験することのない暴風雨だろう。

　試合後、森山佳郎監督は「普段と違う感じで試合に入ってしまった」と語った。しかし、気象条件は両チームにとって同じ。仮にこの荒天のせいで集中力をそがれたのだとしたら……とも考えてしまう。

個人能力では劣っていなかった。

　個人能力で、日本がメキシコに劣っていたとは思わない。しかし、メキシコ選手は決して集中力を途切れさせず、工夫をこらして日本選手の逆を突いたり長所を消すなど、自分たちに有利な状況をを作り出していた。

　この大会の出場国の中でメキシコが最強の部類に入るかというと、そうは思えない。ここまでの試合を見たところ、ブラジル、フランス、スペイン、イタリアあたりがトップクラスといったことろだ。日本は、メキシコを倒していれば準々決勝の相手は手の内がわかっている韓国で、史上初のベスト4入りを達成する絶好のチャンスだった。

　そして、準決勝に進めば相手はパラグアイとオランダの勝者である。結果がどうであれ、さらにもう1試合（決勝もしくは3位決定戦）戦えるところだった。森山監督が、「もっとやれたチーム。本当に悔しい」と無念の表情を浮かべたのは当然だろう。

　もちろん、大会通じて目立った選手もいる。GK鈴木彩には安定感があり、半田もクレバーな守備とリーダーシップが光った。また攻守両面でチームに貢献したボランチの藤田譲瑠チマ（東京Vユース）、大会が進むにつれて厳しいマークに苦しんだものの西川と若月はスピード、技術、決定力に光るものは確かに遭った。

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