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小平奈緒は今季も世界新を目指す。
北京五輪は“ぼんやり”視野に。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKyodo News
posted2019/11/03 11:00
昨季の3月にはカルガリーの高速リンクで非公認ながら36秒39をマークしている小平。今季の記録更新に期待がかかる。
ターゲットは、常に世界記録。
では、その先にある今季のターゲットはどのようなものなのか。小平を長年指導している結城匡啓コーチは、「去年と同じでいいと思っています」と言う。
つまり、李相花(韓国)が'13年11月16日にソルトレイクシティーでつくった500mの世界記録(36秒36)を塗り替えることだ。結城コーチは、「去年は準備が整っていないのに気持ちの部分が先行しましたが、今年は準備をしてきたので、そのつもりで挑戦していければいいと思います」と補足する。
結城コーチが語るのと同じように、小平自身も昨季に関してはメンタル面で反省点があったと考えている。その意味では今季は少し違う角度をつけようと考えている様子だ。小平は言う。
「昨年は"記録、記録"と意気込んで空回りした部分があったな、と思うんです。どんな記録であっても自分の中から生まれてきているもの。だからそれを大切にして、あるとき(新記録を出すことに)結びつく。その反応をただただ待ちたい。そう思っています」
「反応」を期待する最大の場は、来年2月に高速リンクのカナダ・カルガリーで行なわれるW杯と、現在の世界記録のほぼすべてを生み出している米国・ソルトレイクシティーで開催される世界距離別選手権である。そこに向けてどんなステップを踏んでいけるかがまずは重要だ。
W杯でも目先の結果より中身を重視。
今季のW杯は11月15日にベラルーシ・ミンスクで開幕し、12月13~15日には長野市エムウェーブで第4戦が行なわれる。
小平は、「W杯はそれぞれのレースでベースを固めていって、結果ではなく中身を重視したいと思っています。そして、2月にドカンと行けるようにしたい」という青写真を描いている。
技術的な部分とフィジカル的な部分で2月にピークがくるように運んでいこうという考えがある一方で、メンタル面では昨季抱えていた「気負い」がなくなっていることが、小平の後押しになりそうだ。