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小平奈緒は今季も世界新を目指す。
北京五輪は“ぼんやり”視野に。
posted2019/11/03 11:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Kyodo News
スピードスケートのシーズン開幕を告げる全日本距離別選手権が、10月25日から27日まで「YSアリーナ八戸」(青森県八戸市)で行なわれ、平昌五輪女子500m金メダリストの小平奈緒(相澤病院)が、女子500mで優勝、同1000mと同1500mで2位と、好発進した。
会場はこの9月に完成したばかりの400mダブルトラック屋内リンク。本大会はこけら落としとして開催され、会場には3日間で延べ約1万人のファンが訪れた。
日本国内で開催されるスピードスケートの大会としてはかなりの大観衆。高木菜那、高木美帆、佐藤綾乃も含めた平昌五輪の金メダリスト4人に熱い視線が注がれる中で、小平はさすがの滑りを連発した。
まずは初日の500mで2位の高木美帆に0秒71差をつける37秒66を出して、5年連続10度目の優勝を飾った。
「気づいたら10回目だった」
タイムは決して満足のいくものではなかったとのことで、「けっこう滑り込んできたので、500mの速い動きに適応するのは時間が掛かっています」と現状を分析したが、「体力の底上げという意味では後半戦に向けて良い調整ができていると思います」と納得の表情を浮かべた。
そして、報道陣から10度目の優勝について聞かれると「気づいたら10回目だった」と笑みを浮かべた後、すぐにキリッとした目を向けて続けた。
「長く戦えるということは、それなりの努力を重ねてきたからだと思います。常に自分を超えていけるように努力を重ねてきて、気づいたら10回目になっていたという感じですね」
平昌五輪のポストシーズンだった昨年は練習第一としながらも多くのイベントに参加し、追い込んだトレーニングをするための十分な時間を取ることができなかった。しかし、今年はほとんどのイベント出演を断り、取材を受けることも最小限にとどめ、強度の高い練習をこなしたという。