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U-17ジャポンはブラジル人好み?
観衆の「オレー」とベタ褒め報道。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2019/10/30 20:00
オランダ戦後、チビッ子ファンと交流する畑大雅。U-17日本代表の初戦がブラジルで賞賛されているというが、慢心せずアメリカ戦に臨んでほしい。
賞賛は西川&若月だけでなく。
試合を中継した地元テレビ局の解説者も、手放しの褒めようだった。
「アジア王者が、素晴らしいスピード、テクニック、運動量、連携を発揮して欧州王者を圧倒した」
「日本はオランダを良く研究し、強みを消して弱みを徹底的に突いた。完璧な準備だった」
選手についても、解説者は賞賛を惜しまなかった。
「西川、若月のスピードとテクニックは、素晴らしい。この大会のここまでの試合で、最高のツートップだ」
「ボランチの藤田も、テクニックと運動量を兼ね備えた好選手」
「GK鈴木はポジショニングが的確で、反射神経が素晴らしく、フィードも正確。この年齢にしては、非常に完成度が高い」
ブラジル人好みだが反省点はある。
少々褒めすぎの感があるが、それには理由がある。
ブラジルには110年を超える日本人移民の歴史があり、言語、習慣、食事、気候などが全く異なる遠い国からやってきた日本人が苦難の末に定着し、各分野でこの国の発展に貢献してきた。
そのことが非常に高く評価されており、ブラジルはおそらく世界で最も親日的な国なのだ。それゆえ、一般人もメディアも、日本のことを好意的に受け止める。その大好きな日本が、ブラジルの国技フットボールで、ブラジル人好みのプレーを連発して欧州王者に完勝したのだ。
ただ、こんな地元メディアの過剰なまでの賞賛は別にして、日本にも反省すべき点はある。
前述したように、前半と後半の立ち上がりはオランダに主導権を握られた。とりわけ、日本の左サイドを突破されてピンチを招いていた。せっかくボールを奪っても、落ち着いてパスをつなぐことができなかった。これらの問題点は、森山監督も百も承知だろう。